カシオペヤ座新星の観測

3月に日本のアマチュア天文家(三重県の中村祐二さん)が発見した、カシオペヤ座新星が明るくなっています。

発見光度は9.6等ですが、先週、7等になっているというニュースがあり、晴れるのを待っていました。さらに今週はなんと5等台というニュースもありました。

先ほど、晴れていましたので、庭で少し星見しました。晴れたとはいえ、まだ腰が痛いので大きな望遠鏡は出さず、手持ちで使える双眼鏡のみにしました。これだと11等の彗星などはまず見えませんので、観測対象を上記のカシオペヤ座新星に絞りました。
カシオペヤ座は周極星、地平線から沈みません。とはいえちょうど下方経過をすぎたばかり。あとから調べた新星の高度は16度でした。

7x50双眼鏡を向けましたが、なにぶん星が多いエリアですので区別がつきません。プリントアウトした観測用チャートと照合しながら特定しました。
感想…「えっ?こんなに明るいの?」。視野内にいくつもある星の一つで、別に目立つわけでもありませんが、はっきり見えています。
スケッチ用紙にラフですが視野内の恒星の位置をスケッチし、明るさが似た星を二組選び、明るさの違いを比例配分で記録します。A星・B星・N(新星)の3星を「A>N>B、9:1」のように記録するわけです。あとで室内で星図データと照合し、A星・B星の光度がわかればN(新星)の光度観測値が求められます。
A星・B星・N(新星) に高度差があれば測定値を補正します。低空になるほど大気の吸収によって暗く見えるのです。日の出・日の入りの時の太陽がまぶしくないのと同様の理屈です。

こうして測定した今夜の新星の光度は、5.6等でした。何てこった!暗いところなら肉眼でも見えそうじゃん!

新星というのは恒星の表面の爆発現象で、ごく一時的なものです。用語としては「肉眼で見えないような星が、急に明るく輝き、あたかも新しい星が出現したように見える」現象ではありますが、実際は、新星として「発見された時がピーク」という場合が多いように思います。長くても数週間程度でまた暗くなってしまうことも多いのです。ところがこの新星は発見から2ヶ月近く経ち、徐々に光度を上げてきています。何か特殊な現象かもしれません。しばらく見守って行きたいと思います。