小惑星2012DA14を撮りました

今朝、地球に最接近した小惑星2012DA14を撮影しました。
長いので隠します。お時間のある方はどうぞご覧ください。

03h50m頃、11×80双眼鏡を三脚に固定。位置予報のチャートを手に、南西の地平線付近から探し始めます。『7.4等なら楽に見えるはず』と思っていましたが、途中で気がつきました。7.4等というのは最も明るくなる光度で、今晩一晩中その明るさではありません。その上、距離が近いという事は、ちょっとした動きでも角度が(位相が)変わるわけです。まだ暗いのかも…と思い、あせるのをやめてのんびり構えることにしました。
04h06m、うみへび座χ1の近くに、ついに発見。ゆっっっっくり動いているのがわかります。もちろん大きさはわかるはずもなく、ただの点、ただの星にしか見えませんが、背景の恒星に対して少しずつ動いて行きます。例えば2個の恒星と作る三角形が、じりじりと形を変えていきます。また、ある恒星にじりじりと近づいて行ったり、離れて行ったり。
面白い事に、双眼鏡を固定してあるので、普通の恒星は日周運動で右下に少しずつ動いていきますが、小惑星だけは少しずつ右上に動いて行きます。つまりこの小惑星、驚くことに『西から上って来る』状態なのです!


カメラは2台。初号機はガイド撮影、弐号機は固定撮影。いつもインターバル用に使っている弐号機は今夜もインターバル。広角レンズで広い視野を担当します。7等ならなんとか写るだろう、と目論みました。初号機は機動部隊。その場に応じて標準から望遠までレンズを替えていろいろ撮ってみる予定…でした。


結果、28mmをつけた弐号機の画像ではほとんどわからず…。こんな具合です。矢印の先あたりにほんの短い線が写りました。


ガチガチにコントラストをつけてみて、ようやくこの程度。真ん中ちょっと上に線状に写っています。


うーん、7等星ならどうにかなるかと思ったんだけどなぁ…。せめて6等星だったらなぁ…。


ガイド撮影、初号機55mmの画像。APS-Cですから、35mmで言うと80mm相当。矢印はしし座φ。


真ん中がしし座φ。すぐ下に写っている線が、小惑星2014DA14です。露出時間20秒の間に、これだけ動いているわけです。


えーい、これじゃよくわかんないや。よーし、M65,66近くを通過するのをアップで撮るのに賭けよう。と、レンズを200mmに。早速、200mmで20秒露出でM65,66がどのくらい写るかと撮ってみると…げっ、2012DA14、もうこんなところまで来ている!急げ、急げ!


星図です。白い四角が200mmの写野です。


部分拡大して、天体説明の文字を入れてみました。2012DA14(小惑星)、しし座73番星(恒星)、M65,M66,NGC3628,NGC3593(銀河)と、さまざまな天体が写っています。


gifアニメにしてみました。このままでちゃんと動くかな?


同じようなヤツをYOU TUBEに上げたのがこちらです。


このM65,66脇を通過するのが今夜のハイライトでした。この後も追跡しましたけど、明るい銀河はありません。ひたすら恒星の間をぬって行きます。


しし座θ近くを通過。こちらは露出5秒、中断2秒。5秒でも伸びて写っています。どんだけ動きが速いんだろ…。


5秒で写すために、ISO12800を使っています。このへん、高感度はPENTAX K-5の強みです。


しし座δ近くを通過。05hを過ぎています。


既に薄明中ですが、まだ小惑星を追いかけました。これも200mm、5秒露出・2秒中­断です。画面には、人工衛星(タテの線)、流星(上端に入ってくるヨコの線)、テレビのアンテナまで入­ってにぎやかです(笑)。


こうして明るくなるまで小惑星を追いかけました。雲一つなく、寒すぎもせず、充実した時間を過ごせました。最後に、記念写真を1枚。


…で、その後、画像をパソコンに転送して、動画作って、YOU TUBEにアップして、説明用の画像作って…まだ寝ていません(笑)。ようやくブログにアップできたのが、この時間となりました。