今日の夕刻、スピカ食がありました。月が、1等星スピカを隠すという、なかなかレアな現象です。
「月が恒星を隠す」という、「星食」または「掩蔽」という現象は決して珍しくはないのですが、見やすい条件を考えて絞っていくとどんどん少なくなります。望遠鏡で観測しやすい6〜7等星レベルで、一ヶ月に数回といったところでしょう。
その掩蔽、今回は1等星であるおとめ座のスピカです。全天に1等星は20個ありますが、月に隠される可能性があるもの(月の通り道にある1等星)はわずかに4個、しし座のレグルス、おとめ座のスピカ、さそり座のアンタレス、おうし座のアルデバランです。4個もあるとはいえ、月の通り道が毎年少しずつずれて行きますので、ある1等星が食される、(しかも日本で見られる)のは数年に一度程度の頻度になります。
そんなスピカ食、ソフトでざっと計算したわが家での予報時刻はこんな感じです。
- 潜入 18:48:20
- 出現 19:24:45
午後から雲行きが怪しかったのですが、一応、望遠鏡をセット。18:30を過ぎた頃、南西の空に雲の切れ目があって月が見えます。あわててカメラを取り付け、ピントを合わせているうちにまた曇り。まだ空は薄明るいので雲の様子が見えるのです。あの切れ目が来てくれれば見えるのになぁ…などと考えながら待ちます。ところが、18:40頃から濃い雲に入ってしまい、潜入は見えませんでした。…というより、潜入前のスピカさえ見えませんでした。完敗です。
完敗だし、乾杯しちゃえ!と、縁側にカセットコンロ「炉ばた大将 炙り家」を出して「在庫処分」。合宿で残っていたホタテとハマグリを焼きつつ、ビールを飲んで出現時刻を待つことにします。BGM代わりには時報(笑)。テレビのニュースと一緒に時報を機器ながら、一杯です。
出現時刻が迫ってきて空を見ると、月が出ています。だけど空の透明度が悪く、20度ほどの高さなのにもうオレンジがかかった黄色です。映るかどうかわかりませんが、まぁ撮ってみましょう。…で、撮れたのがこちら。一応、記録できました。眼視ではファインダーで見ていたのですが、全くわかりませんでした。録画したものを再生して『あ、撮れてた』という程度です。
以下、動画から切り出したjpg画像です。
スピカ出現直前と直後のコマ。
これはノートリミング、撮ったままですが、これじゃわかりませんね…。
【出現前】
【出現後】
ちなみに、潜入の時はまだ空が明るいので、赤道儀のセッティングができません。なんとなく北に向けたままです。潜入前に一度月を導入でき、そのまま追尾していましたが、見事にセンターを外しています(笑)。
動画は毎秒30コマなので、時刻と同期できれば1/30精度で現象時刻が測定できるはず。ただ、画面にインポーズする手立てを知りません。どうも、高ーい機材が必要らしいんです。自作することも、できないことはないらしいのですが、高度な知識と技術が必要な模様…。
さて、部分拡大。720×480のjpgにしたものです。
【出現前】
【出現後】
ほら、月の縁にぽちっと白い星が!
ようやくわかる、って程度ですね。でもまぁいいや。一応、捕らえたぞ、ってことで。こうして、ホタテとハマグリの焼けるにおいの漂う庭先で(笑)、スピカ食を撮影した次第です。