部分日食…完全に曇り

部分日食は曇ってしまい、太陽すらろくに見えませんでした。北関東では10年後まで日食は見られません。

ネットで『全国の皆さん、今日はどんな画像を撮っているのかな?』と検索して、面白いのをたくさん見つけました。穴あきお玉や落とし蓋で撮ったピンホール部分食、良いですねぇ。溶接マスクを被った子供の写真などは、どこかメルヘンっぽくもあり、ほっこりします。

でも、なかなかひどいのも見つけました。そのまま載せるのは遠慮して、注釈を書き加えたものを示します。
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「台湾の友だちから…(以下略)」と書いてありますけど、真ん中に真っ黒な円があって、周囲が白くコロナみたい…。これ、露光オーバー部分に黒い丸を合成したんでしょう。おそらく作成者は皆既日食のイメージが強かったのではないかな?でも次のようにボロが出すぎです。

  • ゴーストが三日月型。これ、本当は部分食の写真でしょう。
  • 黒い太陽(実はコロナ観測用のオッカルティングディスク?)が大きすぎ。
  • これを太陽とすると、太陽高度が低すぎ。地上風景が写っている広角の写真ですが、太陽の視直径から目測すると高度5~6度。台湾なら金環食時の太陽高度は30度くらいのはず。

作っちゃった絵、客観性のない絵は、もはや写真とは違うものです。(画像処理との線引きは難しい部分もありますが…)もちろん世の中には「写真を1つの素材として、写真に類似した画像を作る」人もたくさんいますので、創作のジャンルの1つと言えなくもないのです。でもそれならはっきりそう書いておかないとダメです。
天体写真を真面目に撮る人って、こういうインチキに厳しいんですよ。インチキUFO写真を見せられてイラッとした事がある天文愛好家はたくさんいます。そして、有名な天体写真家でインチキやらかしちゃった人がいてエラい騒ぎになったことがあります。そういえばバレたのは2009年の日食の写真からだったなぁ…。

もう1つ、ネット上での言葉の問題。なぜか「皆既日食」って書いている人もちらほら。どうも、日食=皆既日食と、単語の別表現くらいに思っている人もそれなりの数いるみたいです。中には「部分皆既日食」という斬新な(?)表現をしている人もいました…。えーと…全然違いますから…。まぁこのへんは私の方で言葉尻を捉えている(文字通り…)だけなのでこのくらいにします。これあんまりシビアに言うと、せっかくたくさんの人が天文に興味持ってくれるチャンスなのに、『面倒くさい人が多いジャンル』と敬遠されそうだから…。
でも、面倒くさい人が多いのは事実…(笑)。

余談ですが、洋上で金環食を観測するツアーもあったんですね。大型船の上からですが、これには一長一短あります。
長所は、晴れ間を求めて移動できる事。晴れないとどんなにお金を積んでも見えませんからね。
短所は、船が揺れるので望遠鏡などが安定しない事。高倍率での観察や、長焦点での撮影には不利です。
そんな洋上ツアーに有名な船が予定されていたんですね。その名は「ダイヤモンド・プリンセス号」。新型コロナウィルスで一躍有名になってしまった船です。ウィルス騒ぎがなければ金環食を見に行っていたのかなぁ…。
ま、金環食なのでコロナつながりって訳じゃありませんね。