筑波スカイライン

いま、目が覚めました。いやー、眠かったです。


今朝は早朝星見して、そのまま仕事へ。忙しくて眠くなる間もなく、昼休みも寝られませんでした。
夕方はフルートのレッスンの後、帰りに筑波山系に登ってみました。稜線を走る表筑波スカイライン、通称パープルラインと言われる道路で、かつては有料道路、現在は無料です。(無料になったせいか、メンテナンスがあんまりされていない印象です。)

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80年代から、夜のパープルライン(の駐車場)は、天文ファンには観測地としておなじみの場所でした。時には1人で、時には仲間と、ここの駐車場で良く観測したものです。ところが、90年代に入ると、ほぼすべての駐車場が夜間閉鎖となってしまいました。いわゆる「走り屋」の被害によるものです。山道のワインディングロードですから、車を走らせるには実に面白い道なわけで、一般ドライバーとしては走り屋諸兄の気持ちもわかるのですが、道路の管理事務所に言わせると『奴らは危険で、しょっちゅう事故を起こしている。ガードレール壊しても何も言ってこない。こっちは修理に追われていて、迷惑だ。』って事です。
道路だけでなく、駐車場でも、コーン持参でジムカーナをやりだして、これまた危険だし、ガードレールしょっちゅう壊すし。駐車場の隅で観測しているわれわれにも実害がありました。車がすぐ隣に飛び込んで来たり、ライトで照らされたり、うるさかったり、排ガス臭かったり。
ご存じない方のために解説しますと、観測中は、暗い天体を見るために、暗闇に目を慣らし、瞳孔をなるべく開いて暗順応させておく必要があります。そこにいきなりライトで照らされてしまうと、せっかく時間をかけて開いていた瞳孔が一瞬で閉じてしまいます。また、天体写真の長い露出時間中に照らされると、それだけでカブリが生じてしまい、一瞬でいままでの苦労が水の泡になるのです。そもそも夜の山中に、暗さと静寂を求めて来るのに、余計な光や音をわざわざ都会から持ってくるなよ…というのが天文ファンの立場です。
まぁ、走り屋さんにしてみれば、なるべく迷惑にならないように夜の山で走ってるのに、ここに来てまで文句言われるとは思わなかった…的な言い分があると思いますけど。心情的にはわかりますし、また、脱輪した時などは彼らは間違いなく、てきぱきと助けてくれるでしょう。こちらとしても、誰かが走っていることでやや安心している部分はあるのです。でもやっぱり照らされると困る…せっかく山に来た意味がなくなってしまう…。要は、『走るのはいいけど、邪魔しないでね。棲み分けましょうね。いざとなったら助け合いましょう。』と言いたいです。


以下、天文ファン向け『夜の駐車場』レポートです。

  • 朝日峠…眺望は良いけど駐車スペースなし。路肩にちょっとしたスペースがあるとありがたいのですけど、全くありません。
  • 望湖台…草木が茂って眺望ゼロ。名前負け。駐車場内も草ボウボウ。完全閉鎖らしい。
  • 富士見台…同上。名前負け。
  • 六所平…かつてのメイン観測地。完全閉鎖で気象観測施設があったのですが、現在は何もありません。草ボウボウで完全閉鎖。入り口にわずかなスペース有り。
  • 媼ヶ峰…なぜか開いていて、中はアベック様の車が数台。ジムカーナできないように区分してあります。草木が茂ってかつての眺望はありません。
  • 風返峠第三…下段は完全閉鎖。入り口スペースなし。上段は1台分のスペースあり。かつてはトイレがあったけど現在は更地。ここも草木が茂ってかつての眺望はなし。
  • 風返峠第二…いわゆる階段状の4カ所。いずれも完全閉鎖。かつては入り口前に1台分程度のスペースがあったけど、現在は道路ギリギリまでガードレールが設置され、スペースなしの完全閉鎖。

以上です。風返峠交差点からつつじヶ丘方面も行きましたが、省略します。


実は、南側の地平線が見えるポイントを探しに行ったのです。真冬の夜空、シリウスよりずっと南に、関東地方あたりだとギリギリで見える、カノープスという星があります。この星、真南の地平線あたりにちょっとだけ出て、すぐに沈んでしまうという、なかなか見るのが難しい星なのです。南極老人星とも言われ、見ると長生きすると言われています。晴れている夜でも地平線付近にはもやが立ちこめていることが多く、空だけでなく地上の透明度も良くないと見られない、珍しい星なのです。
…で、このカノープスが見えるポイントはないかな、と探しに行ったわけですが、車が止められる場所がない、というのが一番のネックですね。南が開けている場所は、あるにはあるのですが、すべて道の途中。こんなところに車を止めてはいけない、歩いていると危険、という場所ばかりでした。唯一、とある場所に車1台分のスペースがあったのですが…先客がいました(笑)。そうですね、夜景がよく見えますから、彼女と語らうには最高の場所ですからねぇ…。


久しぶりにパープルラインを走って、『あぁやっぱり変わっていないな』とガッカリした…というのが正直な感想です。どうも『観光地としてのあり方を放棄した』という印象があります。ここは夜景だけでなく、昼間も眺望が売り物のはず。でも邪魔な草木が伸び放題だし、これは昼間の風景も期待できません。筑波山へおいでの皆さん、表筑波スカイラインは来ても面白くないですよ。
夜景はきれいです。人を呼べるくらいきれいです。でも、夜景じゃ、人が来ても、お金を落とさないんですね。逆に、事故による修理費やメンテナンス費用、何かを販売するにしても人件費も馬鹿になりません。かかる方ばかりかかって、少しももうけが出ない…と思います。貴重な観光資源ではあるのですが、これをうまく生かす頭の持ち主はいないようです。
逆に、観光客が夜に筑波山に来るようになると、天文屋としては困るんです。観光地と観測地とは両立しません。天体観測に適した暗い場所とは、イコール人が来ない場所でもあります。知る人ぞ知る、仲間内同士だけ知っている、そんな場所の方が観測地としては適しています。
それでも残る、この残念な感じ…。やっぱり筑波山って、地元・茨城県のシンボルなわけです。そのご本尊がこの荒れよう…何か寂しいものがあります。もう少し、安全できれいな観光地にならないものかなぁ…と思うのです。