7×50双眼鏡

長年、天体観測に愛用している双眼鏡、Nikon7×50CF(40年以上使用中)の、メンテナンスの話です。いや、メンテナンスと言って良いものかどうか…?
たしか、70年代半ばに新宿西口のヨドバシカメラで買ったんです。1975年の小林・バーガー・ミロン彗星を見た記憶があります。

先日もジャコビニ・ツィナー彗星の観測に使いましたが、実は、ストラップ(ひも)がボロボロになってきて、さてどうしたものか…と、しばらく前から考えていました。ところが、ゴム部分の剥離がひどくなってきてしまい、先週、ついにストラップを外して廃棄することにしました。


外したところ。真っ黒なストラップなのですが、ごらんのとおりボロボロ。中の芯は白いんですね。表面は滑り止めのためラバーになっていますが、このラバーがボロボロ剥がれて落ちてきます。困るのは、その剥離した破片が、べたべたして観測用紙を汚したりするのです。


ストラップを外す作業後。ひざの上がこんな感じです…。


ストラップを外して身軽になりました。


ストラップ取り付け部分。こんなにさっぱりしたのは40数年ぶり(笑)。


さて、代わりのストラップをどこかで調達しようかな、と思ったのですが、よく考えたらストラップは使いません。首から下げて使うことがまずないのです。これ、天文屋さんならわかる(かも?のか?)と思いますが、観測対象を探している時に首から下げていると、レンズが非常に曇りやすいのです。人の吐息って、普通に前を向いて呼吸をしていると、下に向いて出ます。鼻と口の真下に双眼鏡をぶら下げていたら、あっという間にレンズが曇るのは道理というものです。
この事って天文屋さんは自然に身についていると思いますが、初心者向けの「双眼鏡の使い方」的なパンフレットでは全く出てこないと思います。むしろ落下防止のためにストラップでぶら下げる方が奨励されるんだろうな、と思います。


双眼鏡の前方より。

さて、肉眼で観測目標を探すときは、双眼鏡は脇机やもう一つの椅子を用意して置くことが多いです。(手持ちの場合も身体の正中線から外し、吐息で曇るのを防ぎます。)そんな使い方ですので、双眼鏡の筒先(レンズの周囲)部分はだいぶ傷ついています。

あらためて見てみると、使い込んだ道具だなぁ…と、貫禄のようなものを感じます。


実は、結像性能ではこれよりはるかに良好な、Nikon7x50SPも持っているのですが、あまり出番がありません。なぜかというと、重いのです…。それともう一つ、彗星の眼視光度観測がメインなので、ピントをぼかす事を頻繁に行います。その時にCF(センターフォーカス)式の方が便利だからです。SPの方はIF方式、左右それぞれにピントを合わせる方式で、一度合わせてしまってずっとそのまま使うならそれでも良いのですが、ぼかす→ピントを合わせる、これを何度も行う観測方法ですので、IFでは不便なのです。


以下、天体観測に使う双眼鏡についての一般論。
倍率について、手持ちでは10倍が限界。それ以上になるとブレが拡大されて見えてしまい、実用になりません。また当然、実視野も狭くなるので目標の導入も難しくなります。
ジャコビニ・ツィナー彗星をいくつかの双眼鏡で見てみましたが、彗星や星雲星団を見るならやはり口径が勝負。32mmや40mmではよく見えませんでした。
ということで、できるだけ大きな口径を手持ちで…となると、やはり7x50が一番良い選択という事になるのです。


彗星観測ではこの他、11x80というやや大きめのものも使いますが、こちらは大きいし重いので、三脚に固定しないと観測になりません。手持ちで観測するのは7x50がベスト、というのが個人的見解です。

※ 参考
ちょっとした街中での天体観望には10x50の方が、背景が明るくならなくてベター、という考えもあります。これも納得できる考えです。でも、年に数回以上、とても暗い場所に星見に行く事があるなら、7x50の方が良いですよ!(…と、聞かれもしないのにお勧めしています…(笑)。)


→ 視野が明るいのがいやなら、絞りを自作すれば良いのさ!(笑)