低倍率おすすめ双眼鏡 (2) 笠井4×22WA

今日は、驚異の視野17度、市販品の中でも最も低倍率の、笠井の4×22WAです。WAは、Wide Angleの略でほぼ間違いないでしょう。

おもな仕様

  • 口径:22mm
  • 倍率:4倍
  • プリズム:ダハ(Bak4)
  • 実視界:17度
  • 見かけ視界:68度
  • アイレリーフ:12mm
  • 重さ:390g
  • 最短合焦距離:1.5m
  • 合焦機構:IF
  • 外装:一部ラバー貼り
  • 付属品:接眼キャップ×2、ストラップ、ソフトケース


のぞいていみて、まず視野の広さに驚きます。倍率が低いので当たり前といえば当たり前なのですが、見かけ視界を68度も取ってあり、結果としてたいへん広い視野を、気持ち良く見ることができます。星座で言うと、カシオペヤ座のWがそのまますっぽり入ります。これは他の双眼鏡には真似が出来ません。


像質は、まあまあ値段なりのものは見せてくれる、と言った感じですが、1万円を切る双眼鏡ですので、これでなかなか立派なものだと思います。まぁ、高級品を見慣れている人ならば「ふーん」といった程度の感想でしょうけど。
視野内の像のくずれは、中心から60%あたりから始まります。主に像面湾曲で、違う位置にピントがある状態です。ピントを動かしていくと、意外に外側までピントが合うことがわかります。
ピントといえば、IF(独立合焦方式。independent focus…だと思います。)は慣れないと使いづらいです。IFとは、左右独立のピント合わせ方式で、見る対象までの距離が変わる度に、片方ずつピントを合わせなおさなければなりません。おそらく、真ん中の軸にピント機構を取り付けるCF(中央合焦方式。center focus。)よりも、それぞれの接眼レンズにピント機構を付けるIFの方が、よりコストダウンになるのでしょう。
この双眼鏡の場合、両手の中指と薬指で軽くはさむようにホールドし、左右それぞれ親指と人差し指を接眼部をはさむように構え、ピントリングを回すようにすると、快適に操作できます。


本体と元箱。接眼キャップは普通のもの。


接眼側。


対物側。レンズはあまり大きくありません。


上側。黒い部分はラバーで、すべり止めになります。


下側。ストラップ取り付け位置に問題あり。

この位置にストラップがあると、双眼鏡をのぞいている時、特に上を見る時ですが、鼻や口にストラップが触れて邪魔になります。


それに、ストラップがこの位置だと、ぶら下げた時に筐体が斜めになってしまいます。下を向いてくれた方が邪魔にならなくて良いですし、これだと対物レンズが洋服にスレて汚れたり傷ついたりします。

ストラップもケースも、必要最低限といった感じで、高級感のある物ではありません。まぁ、高い物ではありませんし、割り切って使いましょう。


右側の接眼ゴムをめくってみました。眼鏡着用の方はこうやって使います。ちゃんと配慮がされています。


三脚取付用ネジ穴はありません。その必要も感じません。そもそもたったの4倍ですから、元々、手持ちで使うために設計されたと思われますし、コストダウンのためには不必要な物は付けないことが徹底されているという事でしょう。
他の双眼鏡と比べて気がついたのですが、この倍率だと手ブレが全く気になりません。手ブレに着目して見比べてみると、6倍くらいから気になり出し、10倍では我慢できなくなってきます。(そこで登場するのが手ブレ補正、キヤノンのISシリーズですが、その話はまたそのうちに。)そう、倍率が高ければ高いほど、わずかの手ブレも拡大されて見えるわけで、高倍率が使いづらい大きな理由の一つなのです。


最短合焦距離は1.5m。室内でも楽しめます。例えば今、4m先にある32インチのテレビを、この双眼鏡で見てみると、視野いっぱい、はみ出すくらいに画面が見えます。32インチが128インチに化けるわけです(笑)。また、壁に貼ってあるカレンダーの七曜(大安とか仏滅とか…)を、座ったまま確認できますし、ポスターのアイドルだって視野いっぱいに微笑んでくれます。
コンサートでは、小さいハコで、多人数のグループにおすすめ。ハロコンだと、ひな壇が楽しいですね。クラシックだと、オーケストラ全体を見渡すのに向いているでしょう。逆に、一つ一つの楽器の指使いを見る等は難しいですけど。
この双眼鏡が最も活躍するのは演劇だと思います。演劇だと、一人の役者さんの顔をアップにして見るよりも、数人による演技のからみを見たりする方が楽しいです。そして何より、4倍ですから、「しばい」に通じる、というわけです。お後がよろしいようで。


メーカー(直販)HPへのリンク
笠井トレーディング
製品の解説(型番が現在のものと違っています。)