今夜の一杯「Glenmorangie」

ハイランドモルトをめぐるシリーズ、今夜は「グレンモーレンジ10年」です。

色は薄めの琥珀色。アロマは、ハチミツかメロン系のフルーツ。フレーバーは、最初の一瞬は辛口かな?と思いつつ、すぐになじんで来て、ハチミツかフルーツを連想する味。余韻も良い感じに残り、上品なモルトという印象です。口当たりが他のモルトと違うのは、仕込み水がスコッチにはあまりない硬水だからかもしれません。これなら、水割りにする時にミネラル分が豊富な水でも大丈夫かも。



ラベルには蒸留所が描かれています。Google Mapで蒸留所を見つけましたので下に貼ります。ラベルに描かれた当時とは建物の配置が違っているように思えます。

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蒸留所の近所を散策(?)してみましたが、街路樹の影が長いですね。緯度が高く、太陽高度が低い事をあらわしています。さらに、Google Mapの航空写真は冬場に撮影していると思われます(落葉樹の葉が落ちるので建物や地形がわかりやすくなる)ので、ますます太陽高度が低いわけです。

グレンモーレンジの新しいボトル。


このグレンモーレンジはバーボン樽熟成です。スコッチウィスキーは、『密造者がシェリーの空き樽で貯蔵したら美味くなった』という由来があるので、元々はシェリー樽を使っていました。ところがスコッチが世界に知れ渡り、大量生産するようになるとシェリー樽が足りなくなり、代わりとしてバーボン樽が登場したわけです。たぶん、バーボン樽で作ってみたら、独特の風味が出て美味かった、というところから始まっていると思うのです。なぜバーボンかというと、バーボンというのはアメリカの国内法の決まりで、新樽しか使えないことになっているのです。つまりバーボンを寝かせた樽はもうバーボンには使えなくなってしまうわけで、そこに目を付けたのです。スコットランド(またはアイルランド)で生まれたウィスキー作りですが、アメリカに渡った移民が新大陸の材料(トウモロコシ)でバーボンを作り、そのバーボンの樽はスコットランドに帰ってスコッチを作る…実に面白い循環が生まれています。
余談ながら、シェリー樽の方も、アメリカのオーク材で作った樽にスペインでシェリーを寝かせ、その空き樽がスコットランドに来てスコッチを寝かせる…と、これまた大西洋を渡る旅をしています。


一杯の酒で、いろんな仮想旅行ができます。それもまた、酒飲みの楽しみであります。