買ってはいけない双眼鏡

あーあ…何回となくこういう記事を書いています。過去記事の、こちらも参照してください。→買っちゃダメ!な双眼鏡 …というのも、思い出したように通販の新聞広告に出て来るんですよね、高倍率をうたった極悪双眼鏡が。
今回のはこれです。今日のA新聞に掲載。話題の100倍ズーム双眼鏡(苦笑)。

粗悪双眼鏡メーカーの双璧といえば、ナ○カとケ○コーですが、今回はナシ○の方です。倍率は18〜100倍のズーム。口径28mm…って書いてありません(笑)が、販売元のHPで調べました。以下、ペーストします。「ツッコミ」は私が加筆しました。

NASHICA(○シカ) 100倍ズーム双眼鏡 18〜100×28ZOOMの商品仕様

ツッコミ
倍率 18〜100倍 本当にこの倍率あるのかなぁ。
有効径 28mm こんな口径なのにこんな倍率を背負わされて…かわいそうに…。
1000m先の視野 26.2〜14m 実視野1.5〜0.8゚。双眼鏡なら5度は欲しいところ。これだと対象物を視野に導入するのに苦労するでしょう。低倍率側では見かけ視界が30度未満で、狭くて使う気になりません。
ひとみ径 11.5〜6mm 実にひどい間違い。本当にこの数値だったら、意味有りません。人間の瞳よりも大きいし。これは、1.5mm〜0.28mmと思われます。つーか、倍率100倍で瞳径6mmつったら、口径60cmの巨大双眼望遠鏡だぞ!(笑)
明るさ 1.69〜0.067 できれば6以上。最低でも4はないとなぁ…。
重量 約340g どうせ手持ちでは使えません。軽くても意味ないです。
サイズ 112×108×56mm  
プリズム材質 BK-7  
コーティング マルチ  
ボディ材質 アルミ合金ダイキャスト  
ボディーカラー ブラック&シルバー  

さて、この手の双眼鏡にありがちですが、よく三脚と低倍率双眼鏡がセットになっています。これは、こういう意味がある…と個人的には思っています。

  • 三脚→軽量をうたっているくせに三脚付き。これは、手持ちでは使いものにならないことを表します。
  • 低倍率双眼鏡(または単眼鏡)→高倍率が使いものにならないので、購入者の怒りを少しでも和らげるためです。


こわいものが見たい方へ。この商品のリンクです。くれぐれも、買っちゃダメだよ。


思うんですけど、商社はきっと「売れれば良い」だけでなんの知識もないんですよね。そして困ったことに、メーカーは『こんなの見えるはずないよ』とわかっていながら作っているわけです。これって良心が痛まないのかなぁ…?
あぁもう伏せ字にするのやめて、ここで問いかけてしまおう。ナシカさん、ケンコーさん、メーカーとして良品を市場に供給するつもりはあるんですか?自社の製品にガッカリするユーザーがたくさんいるのを、どう思いますか?粗悪品を作ることによって市場を自ら狭くしている事を、どう思いますか?ブランドイメージがダウンする事について、どう思いますか?(実際私はケンコー社の望遠鏡はぜったい買わないつもりでいます。フィルターはしょうがなくて買ったりするけど…。)こういうの書いておけば、メーカーさんで『単語検索して市場調査する』程度のスキルがあれば、ここを見つける可能性があるわけですからね…。
あれっ?ついでにメーカーHPもリンクしておこうと思ったけど、ナシカさんは双眼鏡のページを出していないんですね。家庭用プラネタリウムのページしかありません。なんでだろ?突っ込まれるのがイヤなのかな、とか勘ぐってしまいます。


こんなふうに、世に粗悪品のタネはつきまじ、って感じなんですけど、それでも最近はこの手の広告が減ってきた気がします。少しずつでも双眼鏡についての知識が普及して来たのかなぁ?それなら良いけど。でも良質の低倍率双眼鏡の広告は見ないんだよなぁ。粗悪品に絶望して興味を持つ人が減っているんじゃなければ良いけど…。いずれにしても、こんな粗悪品が減ってくれることを切に望みます。