上の画像、今までになく地球照が鮮明に写っています。これは、月の動きに合わせて追いかけているためです。こういう追尾を「ガイド」と言うのですが、今回のは通常のガイドとは違います。なんと、赤道儀を使っていないのです!
使ったのはこれ。ペンタックスのGPSユニット、O-GPS1。GPSを使って、緯度経度などの情報を画像に記録するためのアクセサリーですが、その機能の一つに『アストロトレーサー』というのがあります。これは、カメラの手ブレ補正機能の範囲で、天体の動きに合わせて追尾しよう、というユニークな仕掛けなのです。これが使えるのはペンタックスでもK-5とK-rだけです。
これがO-GPS1。手のひらに楽々乗るくらいの小ささです。
カメラのアクセサリシューに取り付けます。
これを使うには、カメラ本体のメニューからGPSを選び、キャリブレーションを行う必要があります。以下、通常キャリブレーションの画像です。こういう指示が出たら、1分以内にキャリブレーションを行います。
通常キャリブレーションは比較的簡単なのですが、天体追尾の段になると、精密キャリブレーションが必要になります。この精密キャリブレーションがなかなかうまく行かず、最初のうちは苦労しました。カメラを手に持ってぶんぶん振り回しても、とにかくさっぱりうまく行かないのです。が、三脚に取り付けた状態で行ったところ、突然のOK表示。いや、うれしかったですね。
精密キャリブレーションは、軸がブレるとうまく行かないようです。手持ちでは一度も成功したことがありませんでした。三脚に取り付けて、軸がブレないようにしてやるとうまく行くことが多いようです。一度うまく行かなかったら、違う方向に向けてやってみると良いです。3〜4回やるうちに、うまく受信できるポジションが見つかります。たぶん、GPS衛星の電波がうまく受からないとダメなんでしょうね。
この『アストロトレーサー』を使って天体撮影する時は、専用のメニュー画面から撮ることになります。この画面には追尾可能な露出時間が表示されますが、それによると、200mmで2分程度は追尾できるようです。標準や広角だとさらに長い時間可能になるようですが、実際にはカメラの側が高感度なので、1分も露出すれば十分と思います。それ以上の露出時間は何か特殊な用途がない限りは不要でしょう。一つ不満があるのですが、それは撮影モードを『バルブ』にしないと『アストロトレーサー』が使えない事。せっかくカメラ側に30秒までの露出時間があるのですから、バルブに限定しない方が使いやすいと思うのです。
さて、天体追尾に使ってみてどうかというと…まず、びっくりです。こんな小さなものでこんな事ができるんですね、という驚きです。作例をご覧下さい。
GPS追尾をしないと、こんな感じです。同じく露出15秒。
上の2コマを部分拡大してみます。GPS追尾したもの。意外に暗い恒星(10等程度)まで写っています。
GPS追尾なしの固定撮影。月も星も日周運動で動いています。違いが一目瞭然ですね。
さてこのGPS追尾、手ブレ補正の撮像素子シフトを利用しているわけですが、素子上の星の移動量は、レンズの焦点距離が変わると、当然変わってきます。レンズを交換したらその時点で精密キャリブレーションをしなければなりません。また、微妙に撮影位置が変わっても精度が落ちるみたいで、日周運動はそこそこ止められても、南北方向に微妙なズレが出ていたりします。まとめると、
結論。天体追尾には赤道儀の方が良いです。良いに決まっています(バッサリ!)。
…が、これだけ小型で、ある程度追尾してくれるというのは、例えば登山の際に星空を撮影するのにはすごく便利です。それに、赤道儀を持っていない人が手軽に星空の写真を撮るためには、「ある」と「ない」とでは大違いです。
一つ気をつけなくてはいけない事。それは、ブログ等にアップする際、撮影地の緯度経度がEXIFに記録されていますので、個人情報がバレる懸念がある事です。当ブログの場合、画像の大きさ制限があるため、「縮専」というソフトで縮小していますが、その際にEXIF情報は消えるようです。(もしも『バレてるよ』という場合は内緒でこっそり連絡ください…。)
ペンタックスK-5とK-rのユーザーの皆さん、せっかくGPSが使えるのですから、ぜひ使ってみましょう。ニコンやキヤノンには負けないぜ!
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