ママがサンタにキッスした

珍しく、クリスマス更新です。
昨夜イブで騒いだ人の中で、今日ミサに行った人はどのくらいいたんでしょうね?
…なんて突っ込んでみてもしょうがないですね。若い頃は、クリスチャンでもないのにクリスマスで騒ぐ人を見ると、たいへん不純に感じました。(私もクリスチャンではありませんが。)いろんなニュースなどを見るにつけ、『何でも金に変えてしまう日本人』とか『乗せられたら負けだ』とか考えていました。一時期、独身者を集めて「クリスマスをぶっ飛ばせ!独身集まれおでんパーティ!」なんてやっていたこともありましたねぇ。しかし、ある程度歳を取ると、そんな風に肩肘貼ることに疲れてしまいました。もう、何でもいいから、楽しいことを感じるきっかけになればいいや…と。ウツになっているから余計にそう思います。何でも良いから楽しさを感じたい…って。で、思い出すのはやはりこの名言。『楽しければいいと思うんですけど。』
そんなわけで、昨夜のライヴ。長いタイトルが私の気持ちも全て代弁してくれます。「クリスマスなんてカンケーない、とか言ってもやっぱりうれしいクリスマスライブ」。いや本当に楽しい、リラックスして楽しめるライヴでした。そのアンコールで歌われたクリスマスソングがこれ。4日前にBuono!のアンコールでも同じ曲が歌われていたのは偶然でしょうか?必然でしょうか?
たぶん、今年亡くなったマイケル・ジャクソンへのオマージュなんでしょうね。タイトルは「I saw mommy kissing Santa Claus」、邦題「ママがサンタにキッスした」です。(実は私、『誰か子供の声で聴いたことがあるな…』という程度の知識と記憶で、マイケルだとは知りませんでした。)



歌詞はこちら。*1

I saw Mommy kissing Santa Claus
     (music and lyrics by Tommie Connor)
I saw Mommy kissing Santa Claus
Underneath the mistletoe last night.
She didn't see me creep
down the stairs to have a peep;
She thought that I was tucked
up in my bedroom fast asleep.
Then, I saw Mommy tickle Santa Claus
Underneath his beard so snowy white;
Oh, what a laugh it would have been
If Daddy had only seen
Mommy kissing Santa Claus last night


日本語訳版はこちら。題は「サンタがママにキッスした」になっています。主語が入れ替わっているのは何故でしょうね?日本では男性主導の方が受け入れられると思われたのかな?Googleの検索結果は次のとおりでした。…やっぱり。

  • ママがサンタにキッスした…111000件
  • サンタがママにキッスした…247000件

サンタがママにキッスした
     (訳詞by漣健児)
それはきのうの夜
サンタのおじさんが
重いふくろ 肩にかついで
そっとおへやに 入ってきたら
ママはよりそいながら
やさしくキッスして
とてもうれしそうに               
お話してる
でも、そのサンタはパパ


英語版ではマイケルが「ママがサンタにキスをしたのを見たんだよ。信じてよ。」と言っているのに対し、日本版では「でも、そのサンタはパパ」と明確に結論づけています。これも文化の違いなのでしょうか。この件について、やかん師匠とメールをやりとりしたのですが、ここで和訳を引用させていただきます。やかん師匠、ありがとうございます。ちなみに、この件お互いに調べていて、全く同じYouTubeにたどりついていたんです(笑)。

英語版の訳は、難しいですけど、
「パパが、もし、ママがサンタにキスをしているところを見ていたら、面白いことになっただろうな。」という意味ですかね。
(仮定法過去完了、実際はそうではないがそうだったらどうだろうみたいな感じ?)


さて、私は英語の歌詞で、「Underneath the mistletoe」という一節が気になり、検索したらたどりついたのがここです。
世界の民謡・童謡 WORLDFOLKSONG.COM
下の方のコラムの「ヤドリギの伝説」なかなか興味深いです。で、このサイト、見覚えがあるぞ、と思ったら、以前の更新で「ラ・クカラチャ」を調べたときにたどりついたサイトでした。スコットランドアイルランドの民謡も、いくつかここで調べました。たくさんの曲を研究されている素晴らしいサイトです。これかな?と思ったときに音が鳴らせるのは特にありがたいですね。


「ママがサンタにキッスした」の訳詞者はこの人です。
漣健児(さざなみけんじ)本名は草野昌一オフィシャルサイトはこちら。
シンコーミュージックの二代目社長です。ここは、ギター好きの中年なら若い頃に必ずお世話になっている出版社です。私にとっては、サイモン&ガーファンクルの楽譜を出版している会社でした。ロック系の方は「ミュージック・ライフ」の会社と言った方が良いでしょうか。
この人、いろんな意味で、戦後の音楽出版業界を動かしてきた人なんですね。400曲以上の英語の歌を日本語に訳しています。もちろん、英語の歌詞を日本語訳することについては、功罪両面あることは承知しています。今から思うとトンデモな訳もあるに違いありません。でも、『訳詞が必要な程度の語学力』の人は圧倒的に多く、たくさんの人が洋楽に興味を持つきっかけになった事は間違いありません。クリスマスの夜に、この故人の業績に触れることができたのは、もしかしたらサンタクロースが運んできた一つの幸いなのかもしれません。

*1:歌詞の引用は極力やらない事にしていますが、今回は歌詞の内容に関する考察が主題であり、必要があると判断しました。