今夜(明日の早朝)は皆既月食が見られる予報なのですが、あいにく台風の接近が予報されています。そこで晴れ待ちの天文仲間の皆さんへネタ提供。以下、天文シミュレーションソフトで遊んでみてください。
ベテランの天文ファンの皆さん、「火星大接近と皆既月食」で思い出すことがありませんか?私が天文に入門したての頃、これがあったのです。1971年8月7日早朝、やはり月没帯食でした。
これ、47年前の事なのですが、「火星大接近と皆既月食」って、もしかして47年周期であるのかな?と思って、ステラナビゲーターでカチカチやって探してみたら、なんと、ありました。周期はおおよそ「47年マイナス9日(≒17157日)」です。
火星大接近の頃に皆既月食が見られる年(JSTで表記しています。一部誤りがあるかも…)
火星大接近 | 皆既月食 | 接近距離(万km) | 備 考 |
---|---|---|---|
1830/09/14 | 1830/09/02 | 5,800 | 文政13年 |
1877/09/03 | 1877/08/23 | 5,635 | 明治10年 |
1924/08/22 | 1924/08/14 | 5,578 | 大正13年 |
1971/08/12 | 1971/08/06 | 5,620 | 昭和46年 |
2018/07/28 | 2018/07/27 | 5,759 | 平成30年 |
2065/07/20 | 2065/07/17 | 5,978 | |
2112/07/09 | 2112/07/09 | 6,258 |
なお、日本では、この表の上から下に向かい、欠け始めに食が始まる→月没帯食→夜半過ぎに皆既、と変わっていきます。
ちなみに上から2番目の1877年(今から141年前)、西南戦争があり、ギラギラ赤く光る火星は「西郷星」と呼ばれて話題になりました。奇しくも今年の大河ドラマは「西郷どん」です。せっかくなので「西郷星」の名称を思い出しましょう。
また、火星の2衛星の発見もこの年です。発見者はアメリカ海軍天文台のホールで、望遠鏡は66cm屈折。シリウスの伴星で有名なアルヴァン・クラークが作った望遠鏡です。
上の表で最後の2112年の月食はドンピシャ接近日ですが、大接近からはズレて来てしまいます。次の2114/9/16が大接近となります(5727万km)が、この時は月食は起こりません。
この周期性について、簡単にざっくりと検証します。
★火星の大接近→おおよそ「15年ごと」と言われていますが、2回続けて(2年)のこともあります。近年では1986年と1988年に続けて大接近と呼ばれました。およそ「15年・15年・15年・2年」ごとと思ってください。つまり47年ごとに大接近はあるという事です。
★581朔望月≒17156.93日
★地球と火星の22会合≒17157.8日
…というわけで、おおよそというか、かなりざっくりではありますが、何となく「47年に一度の月食」と言っても良いような状態かなぁ…と思うのであります。
※皆様へ。ネットニュースにこのネタ流さないでくださいね。ニュース書く人って、なぜか天文現象については「何年に一度」とか「この次は何年に」とかいう表現が好き…というか、このまとめ方しかしない傾向がありますよね。マニアとしては「またか」と思ってしまうわけです。どうか「マニアだけが知っているネタ」にしておいてください。