MW

見たかった映画というのは「MW」です。「えむだぶりゅー」と書いて「ムウ」と読みます。ご存じでしょうか?これ、手塚治虫のマンガが原作になっています。
私、「アトム世代」のど真ん中ですが、手塚氏は鉄腕アトムの頃から子供のマンガなのにいろんなテーマを埋め込んでいたのを知っています。若い皆さんは浦沢直樹の「PLUTO」はご存じと思いますが、あの原作、子供向けながらさまざまな事を教えてくれました。子供向けのロボットマンガが「強さって何だろう」「強いだけで良いのかい」みたいな事を語っていたのです。今さらですが、自分は良い教科書に恵まれたという気がします。
さて「MW」です。この作品との出会いはたしか70年代後期と思います。ちょっと大人向けに書かれた作品のシリーズで、大都社から出された一連のものの一つです。あれっ?写真撮ろうと思ったら、肝心の「MW」が見あたりません。誰かに貸したのかな?しょうがない、だいぶ後から出た小学館の「MW」を撮っておきます。(ついでに大都社の手塚作品も並べてみます。)


「MW」が実写で映画化される事は5月に友人からのメールで知りました。実は「よりによって「MW」かぁ…」と思う、もう一つの理由があるのですが、それはまた後で語ることにします。で、公開を楽しみにしていたのですが、あいにく皆既日食の準備や旅行の時期と重なってしまいました。そこで一段落したこの時期に見ようと思ったなのです。地元で上映しているところがあれば良かったのですが、もうみな終わっていました。
実は伏線がありまして、「冬の怪談」を見に行ったとき、この「MW」のパンフレットが置いてあったのでもらっておきました。「8月15日ロードショウ」と書いてありまして、頭の隅にインプットされました。そして℃-uteコンサートの前の夜に検索、明日上映している館はないかなぁ、と探してみたら、都内で数件しかありません。こうなったらもう同じ館に行くしかありません。そんなわけで、ももちと舞美ちゃんがつないでくれた「MW」とのご縁だったりします。
さて、映画「MW」は…
(以下、隠します。)
正直、原作を知っているだけに、描写が粗い(細部を省略している)点が目立ちます。登場人物もだいぶ割愛されています。(代わりにオリジナルの人物もいるけど…。)結城美知夫の双子の兄もそうですが、私としては「金庫破りのカザル」を誰が演じるのか見たかったですね。しかしながら結城の独特な「悪」を、(映画の範囲内で)それなりに良く描いていると思いました。でも賀来と結城が愛し合っているという設定は「MW」には不可避だと思ったのですが…やっぱり同○愛は一般の映画では禁断の領域なんでしょうね。
とはいえこの映画、PG-12指定。つまり、「12歳未満は保護者の同伴がないと見てはいけない」ということです。暴力的な描写のせいと思われます。たぶん、血がドバドバ…っていうあのシーンなんだろうなぁ。そういうのをどのへんで折り合いをつけるかっていうのが、作品を世に出すためには大事なところなんでしょうね。
お客さんの入りは、この時期(お盆休みだし、一通り上映が終わっている)にしては多いかもしれません。玉木宏*1山田孝之*2とイケメン俳優のおかげか、女性客が多いです。他には私を含めてオジサンが数名…この人たちは手塚ファンでしょうか。
映画館を出た後、まだ日も高い時間でしたけど、なんだか薄ら寒い気がしました。この大都会の中に、結城のような、もしかしたらそれ以上の悪意が存在している事は間違いのないことでしょう。人間の悪意というものは、単に狂気とかそういう単語だけで説明できるものではありませんよね。そういう事は大人になると薄々わかってくるわけで、でも、だからこそ、逆にちょっとしたぬくもりが恋しくなったりするのかも。


オマケです。以前、「MW」のストーリーからとったハンドル名を使っていた事がありました。自分の子供の頃の愛称をそれに読み替えて名乗り、ついでにいろいろな意味づけをしました。原作では「Man & Woman」の意味づけもあるようで、だからこそ同○愛は必要な描写だと思います。(でも正直あんまり見たくないけどね。)世間では「メンズ・ウォーカー」のイニシャルが同じ「MW」ですけど。天文屋の自分としては「Messier Watcher」を名乗りたかったですね。メシエ・カタログ*3は、ほら、ウルトラマンの故郷はM78っていう、あのMはここから来ているんです。メシエ天体は全部で(非公認を含め)110個あるんですが、「メシエ・マラソン」といって、一晩のうちにそれらをできるだけたくさん見ようっていうコンテストもあるんです。実は私、これ得意だったりするので、だからです。あと本当は、「MacもWinも使える」人になりたかった…というのは内緒の話ですw
そんなわけで、実は「MW」が映画化されたのは『待ってました』なところがあったのです。いろいろ細かい注文が多いのも、長いこと期待していた裏返しなのです。予想や期待と違う部分も『うーん、そう来たかぁ』と、丸ごと楽しませてもらいました。監督さんや出演者の皆さん、スタッフの皆さん、ありがとうございました。

*1:のだめカンタービレ』の千秋真一役

*2:ちゅらさん』の古波蔵恵達役

*3:フランスのシャルル・メシエ(Charles Messier)が1781年に作った星雲・星団のカタログ