パンスターズ彗星を見よう!

はい。お待たせしました。今月の注目、パンスターズ彗星のお話です。


今回、話題になっているパンスターズ彗星は、C/2011L4というのが正式名称。発見したシステムの名前をとって、通称パンスターズ彗星と呼ばれています。このシステム、自動的に彗星を発見するシステムなのですが、本格的に稼働するとほとんどの彗星を発見してしまうかもしれません。単にパンスターズ彗星と呼ぶだけでは、どのパンスターズ彗星を差しているのかわからなくなる事必至です。なので、C/2011L4という名称に慣れておくことが必要です。(と、自分にまず言い聞かせています。)
さて、この彗星、今日現在は太陽の南側にあり、まだ日本からは夜に見える状況にはありません。昼間の空には実は出ているのですが、さすがに昼間に見えるほどは明るくなっていません。ちなみに今日現在は、みずがめ座の方向にあります。既に、赤緯としては日本から見える位置まで迫ってきています!もうフォーマルハウトよりも北に来ていますよ!←天文屋さん向け表現
では、いつ頃見えるのかというと、来週からで、時間は夕方。日没後の西の空で、早い時間ほど高い場所に見えますが、遅い時間は低くなってしまいます。逆に、早い時間だとまだ空が明るくて見づらく、遅い時間ほど空が暗くなって見やすくなります。そのバランスがとれる時間というと、日没後45分から1時間後といったところ。これは時刻でいうと、関東地方では、来週なら18時45分から19時といった時間帯になります。この時間帯にほぼ真西に彗星が見えてくるはず。ただし、超低空ですので、西がよーく開けた場所で見ることが重要です。
肉眼で見えるか?というと、ちょっと難しいかもしれません。理屈では肉眼でも楽に見えるくらいになりそうなんですが、超低空なので大気の影響を受けて減光してしまいますし、ちょっとした気象条件で見づらくなってしまいます。よほど環境の良い場所に行かないかぎり、観察には双眼鏡が必須となるでしょう。


パンスターズ彗星の日没時の位置と、3月7日に太陽が沈む方向【北関東】

図のマス目は、角度の10度を表します。


日没後45分たつとこうなります。空は暗くなりますが、全体に高度が落ちるのがわかります。


今回のハイライト。3月13日の夕刻18h30m。ちょっと拡大しています。

彗星の右上に、何かあるようです。


さらに拡大。そうです。この日は、月が彗星のすぐ近くに見えています。


翌日には月はこんなふうに離れてしまいます。


5日ごとの彗星の高度方位の変化です。
3月15日18:45。

3月20日18:50。

3月25日18:55。

3月30日19:00。

この頃になると、明け方の空にも見えるようになります。


※注意 この図の彗星の尾は、ソフトで描いたものであり、実際は違う形になると思います。あくまで「大胆予測」の一つであることにご注意ください。  ※ 図の作成には「Stella Navigator ver.8」(アストロアーツ)を使用しました。


うーん、こうして見ると、なかなか地平線から上って来てくれないんですよね…。それでも「遠来の客」ですから、一回でも多く観測したいと思っています。問題は、この期間にいったい何日晴れるのか?しかも低空までよく見える晴れ間は訪れるのか?って事です。春は、いわゆる春霞がかかる事が多く、上空は晴れていても低空はよく見えない事が多いのです。さらに黄砂や花粉も飛んでくるし、PM2.5も心配です。
発見当初の光度予報では、近日点通過時にマイナス等級になるのでは?と期待されていましたが、その後の観測では増光が鈍くなり、一時は「3等どまり?コホーテク彗星級のガッカリ再来?」とか言われました。でも最近の南半球での観測では、既に2等台まで増光していて、尾も発達して来た様子です。3月10日の近日点通過の後、北半球の空に出てくる頃には華麗なる変身を見せてくれる事を期待したいと思います。