『テルマエ・ロマエ』

昨日、映画『テルマエ・ロマエ』を見てきました。
マンガが原作だそうですが、読んだことはありません。原作を知っていても知らなくても、楽しめる映画だと思います。笑えるところも随所にあり、オススメです。ただ、題材がお風呂なので、“男性の裸がキライ”という方にはオススメしません(笑)。


一つ、天文関係の描写で、どうしてもツッコミたい箇所があるのですが…これから映画を見る方は読まない方が良いかも知れませんので、隠します。(すみませんねぇ。気がつくとどうしてもツッコミたくなる天文ヲタク気質なんです…。)




映画の最後の頃に、北極星に関する描写があるのですが、ローマ時代の天の北極は、歳差の影響で現在の天の北極とは若干違うのです。当時の天の北極の位置は、こぐま座α(現在の北極星)とりゅう座κの中間くらいの位置になります。明るい星としては、こぐま座βの方が天の北極に近いので、当時はβを「北極星」と呼んだ可能性が高いと思われます。


2012年5月1日の北の空

天の北極(図の座標の中心)のすぐ近くにあるのが、こぐま座α。現在の「北極星」です。こんな近くに明るい星があるのは素晴らしい偶然なのです。北極星の下方やや右にあるW型の星座は「カシオペヤ座」です。


138年5月1日の北の空

こぐま座αは天の北極の右下、10度ほど離れたところにあります。左上に「北斗七星」、右下に「カシオペヤ座」があります。


こんな記事を書いていますが、別の楽しみもあります。当時はどの星を使って「天の北極」を探したんだろう?いわゆる「トレミーの48星座」で有名なプトレマイオスはこの時代の人なので、やはりローマのお風呂に入っていたんだろうか?アレクサンドリアのお風呂は?…等々、興味は尽きません。
テルマエ・ロマエ』を見た後なので、露天風呂で星を見上げてみたくなりましたねぇ…。