金環食のスケールモデル

日食って、よく学校にあるこういうモデルで考えると、しょっちゅうありそうに思えてきますよね。

でも実際のところ、空間に対する地球と月の大きさって、どのくらいなんでしょうか?


職場で昼休みに、電卓とメモ用紙を片手にスケールモデルを考えてみました。地球・月系を、わかりやすいスケール、四千万分の1にしてみましょう。4×10マイナス7乗です。(もし間違いがあったら、やさしく指摘してくださいw)

  • 地球…直径32cmの球。バレーボールくらい。
  • 月…直径8.5cmの球。野球のボールくらい。
  • 両者の平均距離…9.6m。

つまり言い替えると、「バレーボールを中心に、半径9.6mの軌道を描いて、野球のボールが公転している」それが地球・月系です。これ…けっこう離れていますねぇ…。


ついでに太陽も四千万分の1にしてみましょう。

  • 太陽…直径34.8m。地球との平均距離は3740m。

太陽は世界最大級のプラネタリウムのドームの大きさで、3.7km先にある事になります。


この間隔で、月の影が地球に投影されるんです。どうです?けっこう「奇跡的」だと思いませんか!?ちなみに、バレーボールに命中する野球のボールの影、その大きさは、長径わずか5mmの楕円形です。


実際の地球・月系でも、新月の度に日食が起こるわけではありません。というのは、月の公転軌道が地球の公転面(太陽の通り道=黄道)に対して5度ほど傾いているので、なかなか日食にならないのです。さて、この「5度」がどのくらいの傾きかというと…

  • 平均半径9.6mの軌道で、上下に各84cmの範囲を動いている

ことになります。けっこう広い範囲を動くわけです。これじゃあ、なかなか日食になりませんねぇ。


ところで、先日「スーパームーン」と言われる、大きな満月が見られました。このスケールで見るとどのくらい距離の違いがあるのでしょうか?

  • 平均距離…9.61m
  • 最近…9.08m
  • 最遠…10.14m

なんと、最近と最遠でおよそ1mも違うんですね!けっこうな楕円軌道です。
でも本当に「奇跡」と言えるのは、月の大きさと距離の絶妙なバランスです。つまり、平均距離で、見かけの直径がほぼ太陽と同じになる事です。月に比べて太陽の大きさは約400倍ですが、距離もおよそ400倍なのです。これ、本当に奇跡的な事です。さらに、最近と最遠の範囲で微妙に大きく小さくなって、皆既食と金環食の両方が見られる事、これもまた、大自然が創り上げた奇跡と言っていいでしょう。
あらためて、この自然への感謝を込めて、21日の金環食をながめたいと思っています。