謎の3等星

今朝も観測しました。その後、興味深いものを目撃しました。

「ミラって何等くらいかな?」と、比較星になる星を探していて、くじら座に見慣れない3等星を肉眼で見つけたのです。くじら座の尾というか腰骨あたりに、からす座を大きくして裏返したような四辺形(ζ,θ,η,τ)があります。この中の、θのやや北あたりに、見慣れない3等星が光っていました。
困ったことに、望遠鏡を出した場所からは家の陰になってここが見えません。急いで7x50双眼鏡で目標を確認しました。手持ちで、短時間の観察では、動いている様子がわかりません。5分ほどで暗くなってしまいました。
さぁて、あれは一体何だったのでしょう?ざっくりした位置を憶えているうちに、望遠鏡をバラして移動してみることにしました。
すると、しばらくしてさっきとは違う位置にもう1個「出現」しました。大まかな位置を特定しよう…とファインダーで見ると、2個の星が並んでいるように見えました。このどちらかが「謎の星」だとして、これだけ接近していれば移動が確認しやすい、と思いました。この時点で右側の星の方が明るく光っていました。
少しして、同じ視野内にこの2個ときれいな二等辺三角形になっている7等星くらいの恒星があるのに気づきました。ますます、少しの移動でも確認できそうです。
…が、事態は思わぬ方向に…。なんと、「2個とも動いている」のです!しかも、明るさが揃ってきています。
また少しして、二等辺三角形が崩れてきて、今度は左側の方が明るくなってきました。肉眼でも見えます。もう「なんじゃこりゃぁ?」という状態です。

でも、謎の星が複数個あるという事で、ほぼ見当がつきました。たぶんこれ、静止衛星です。静止軌道上にはたくさんの衛星がありますが、光を浴びる部分が次々に移動しているのではないでしょうか?つまり、太陽の対蹠点に近い位置の静止衛星が、ひじょうに明るく輝いて見えるのではないか、と考えました。
でもこのエリア、黄道上ではありません。微妙にズレがありますが、ぴったり黄道だと地球の影に入ってしまいますので、少しだけズレた位置が一番条件が揃うのでしょう。

対象エリアが低くなってきたし、明日晴れたら、証拠写真を撮ってみよう、と思い、観測終了しました。

さて、撮影できるのでしょうか?