昼間に人工衛星を撮る


昼間…といっても朝のうちです。でも太陽が出てからの話ですから、普通、星見の時間ではありません。
『なんじゃそりゃ?』という方も多いでしょう。でも、月が青空に白く見えるように、極端に明るい天体なら昼間の空でも見ることができます。金星が最も明るい頃、昼間の空に(コツさえつかめば)容易に見ることができます。
人工衛星の中で、イリジウム・シリーズの衛星は、大きな太陽電池パネルがあるため、太陽光を反射して時として驚くほど明るく見える事があります。短時間に明るくなるため、イリジウム・フレアと呼ばれています。そのフレアを予報してくれるサイトがありまして、あらかじめ自宅(または観測地)を登録しておくと、局地予報を知ることができます。
そのサイト「Heavens above」で、今朝の08:03:53に-7等のイリジウム・フレアの予報があり、昨夜から狙っていたのです。(上記の予報時刻は最も明るくなる瞬間ですが、この時刻をはさんで数秒間、たいへん明るく見えます。)


衛星通過時の空の図。


一部を拡大。★マークのところがフレアの予報箇所。夏の大三角形の近くですが、既に太陽が出ている事がわかります。したがって背景の星は見えません。


予報データ、フレアの予報線と続きます。


この予報を得た後、ステラナビゲーター(シミュレーションソフト)で下調べします。

このソフトの予報位置に、写野アングルを表示させます。


ソフトの上で、少し時間を戻します。ちなみに起床時刻05:30。カメラを準備して05:45。下の図は、05:48のもので、ヘルクレス座のβ付近である事がわかります。


拡大図。つまりこの時刻にカメラをこの星空の方向に向けておいて、フレアの予報時刻まで「待ち伏せ」。そのまま置いておくわけです。


テスト撮影。左下がヘルクレス座β。その右側にヘルクレス座γ。


さて、現象時刻が迫ってきたので再び庭へ。当然、すっかり朝になっています。物置の前にカメラをセット済。これは現象直前に撮ったもので、林の向こうに太陽が写っています。


部分拡大。時計は08:01を示しています。


カメラはいつものK-5を動画モードで使用。レンズは200mmF2.5。銀塩時代のレンズです。


アングルは固定済み。電源を入れるのも、カメラを動かさないように慎重に…。

四角い枠が、200mmが狙っているアングルです。


ディスプレイを写してみました。

右上に、単管パイプの一部をわざと入れました。何か地上物が入っていないと、被写体が本当に動いているのか、分からなくなってしまいます。


こうして予報時刻を待ちました。目でも見えることを期待して、双眼鏡を持って同じ方向を見ていたのですが、残念ながら見つけられませんでした。ダメだったか…とガッカリして撤収、動画を再生してみると…なんと、写っていました!
動画からjpg画像を切り出しいろいろ処理したうえ、比較明合成したものです。


さらに合成する動画を5枚ごとに合成し、それを1枚おきに比較明合成したもの。点線になっていますが、1/6秒ごとにon/offということです。写っていたのは2秒足らずでしたね…。


ふう…あとで画像処理した動画をアップしたいと思います。