小惑星2014BL86

2014BL86という小惑星が、日本時間の今夜、地球に大接近します。大接近と言っても、月までの距離の3倍もあります。約120万km。でもこの距離、宇宙ではほぼニアミスと言っても良い距離なのです。


幸い、地球との衝突の可能性はないので大したニュースになっていませんが、ニュースサイトの紹介の仕方にはガッカリする部分があります。見出しが『巨大小惑星、地球に最接近へ』って…。翻訳文の中から目を引きそうな単語を抜き出しているのでしょうか。そもそも「巨大」な「小」惑星って表現がちょっとなぁ…。「小さな巨人」みたいな、矛盾を含んだ表現をあえて使って目を引こうとしているのかな?と思います。
NASAによる「予想できる限りでは地球が脅かされる恐れはないが、地球に比較的近い距離まで接近してくる小惑星の中では比較的大きい」という話から、一気に「巨大」小惑星という表現に飛躍されてしまうって…やりすぎ感がいっぱいです。
そもそも、直径680mって、現在見つかっている小惑星としては決して大きくありません。もちろん、小さすぎて見つからない小惑星はもっともっとたくさんあるに違いありませんけど。大きさは…そうですね、100kmあれば巨大の部類に入るかもしれませんが、これは研究者の主観(どこに着目するか)によるところが大きいと思います。
それでもこの大きさの小惑星が地球に衝突したら、被害は甚大なものになります。一昨年にロシアに落下した隕石の比ではありません。注意を喚起する意味では、巨大って言っても良いのかなぁ…とも思います。


天文屋さんにとっても、今回の「9等星」という数値はそれぞれ感じるところがあります。私の主観では非常に明るいと思います。だって、われわれの望遠鏡で、たった680mの小惑星が見えるんですよ。こりゃたいへんな明るさです。でも望遠鏡を持っていない天文屋さん(初心者の方、また流星観測屋さんなどは持っていない方も多いです)にとっては、「9等じゃ全く見えないじゃん」って事になります。手持ちできる程度の双眼鏡でも、理論的には見える数値ですけど、見えても背景の恒星との見分けが全くつかないでしょうね。
それでも望遠レンズでガイド撮影すれば、間違いなく写りますので、晴れたら撮ろうと思っていましたが、今夜は晴れそうもありません。残念です。