天文仲間が小惑星に命名されました

今朝の茨城新聞に掲載されたニュースです。
天文仲間の久保庭敦男さんの名前が小惑星になりました。小惑星9422番Kuboniwaの誕生です。


紙面1ページにおける大きさ。割と大きくて、うれしいビックリです。


久保庭さんは、プラネタリウム勤務の経験もあり、各地の星空教室での講師としてもベテランです。曇ったときには折り紙教室になったりして、子供さんのハートをがっちりつかむための持ちネタも豊富です。お話だけでなく、昨年は茨城新聞に星空に関するコラムを連載。このあたりの「天文普及に尽力した」功績が認められました。
残念ながら昨年末に病気をして、現在、右半身が不自由になってしまいました。これからの人生はリハビリテーションが中心になってしまうようで、天文仲間からエールをこめて、命名の提案が行われました。茨城の西山さんが、たくさんの小惑星を発見して命名権を持っている群馬の小林さんに提案。小林さんはこれまでもたくさんの天文家を命名してくれています。(たぶん)西山さんの提案ならば、と、命名にこぎつけたのでしょう。


小惑星命名とは、原則として発見者に権利があるのですけど、軍人・政治家・ペットはダメ等の決まりがあります。提案をして国際天文連合(IAU)で承認されないと命名されません。この承認がなかなか厳しくて、彼の場合は天文界において、特に天文普及の分野で功績があったと認められたことによります。
天文仲間でも何人か命名されていますけど、天体発見者が多いですね。あと(一方的に)知っている人では、文化・芸術に功績があった人で、いろいろなミュージシャンも小惑星命名されています。例えば、愛媛県の久万高原天体観測館では、発見した小惑星に郷土出身の歌手や芸能人、文化人の名前を付けています。小惑星27003番加藤いづみ、というのもあるんですよ。
元々、小惑星の名前には、女神の名前をつける、という伝統がありました。今でも女性の名前が多いのはその名残ですが、20世紀末になって発見数が増大し、いろんな名前がつけられるようになりました。それでも上記のように厳しいルールはありますけど。


世の中には、お金を払えば「あなたの名前を星に登録します」なんてインチキ商売がありますが、それと一緒にしないでくださいね。あれは、お金を払って、商売してる会社のリストに載せるだけです。そのリストを出版すれば、「国会図書館に永遠に保管されます」はあながちウソでもありませんが…。でもそれだけのこと。「公認」ではありません。
こちらは、国際天文連合に認められた、いわば科学界公認の天体名です。人類が滅亡しない限りは、この名前で呼ばれることになるのです。


彼は残念ながら身体を悪くしてしまい、今、右半身が不自由です。でも先日は不自由ながらも見事な月食の写真を撮影されていました。いろいろと頭が下がる部分が多いです。そんな尊敬できる、誇れる友人の一人なので、ことさらうれしい出来事です。