吉川忠英さんの酒蔵ライブ

地元近く(まぁ「隣町」と言っておきましょう。)の町で、アコースティックギターの名手、吉川忠英(よしかわちゅうえい)さんのライブがあるのを知り、行ってきました。

これがあるのを知ったのが水曜日のこと。ふらっと立ち寄った、ハンバーグの有名な(←地元では)レストランにパンフレットが置いてありました。えー!?今年で4回目だって…知らなかったよ…と、「己の不明を恥じる」次第であります。知ってたら行ってたなぁ…たぶん。


吉川忠英さんといえば、アコギのスタジオミュージシャンとして、日本では超一流、超有名な方。その名演はスタンダードな名曲においても聴くことができます。イルカ「なごり雪」、中島みゆき「わかれうた」、松任谷由実やさしさに包まれたなら」等々…。
まずは、親しみと敬愛の念をこめて、忠英さん(「ちゅうえいさん」)と呼ばせていただきます。MCや、CD購入後のサイン会(ツーショット撮影可)での明るく気さくなお人柄に、早い話、惚れました。スタジオミュージシャンとしての印象しかありませんでしたので、もう少し気むずかしい方なのかと一方的に思っていました。会ってみたら、いやいや、全然違いますわ…。むしろ「実は私、落語家なんです。」とか言われたらそのまま信じちゃう感じです。(実際、落語を話すのもお好きだそうで、「アコギ亭忠助」の高座名でMCされていました。)ものすごーく個人的な印象ですけど『この人、江戸っ子なんだろうな』と思いました。いやこれ、当たりでしたけど。
会場の西岡本店さんは造り酒屋。桜川市真壁町にある、清酒「花の井」の蔵元です。3.11では蔵もだいぶ被害を受けたそうで、復興の様子がちょっとした写真展風に展示されていました。その蔵元の「玄米蔵」が今回のライブ会場です。勉強不足でよくわからないのですが、ここは収獲の後にお米を置いておく蔵なんでしょう。お酒を寝かしておく蔵ではありませんね。蔵なのに、クーラーないね…←アコギ亭忠助ふう(笑)。
私、西岡本店さんとは縁がないこともなくて、たぶん○○○○の○○部の○輩の○○さんの実家だか親戚筋だったはず。あとはこの近所に某上司がお住まいで、会っちゃったらどうしようとビクビク…しないこともないという、ビミョーな緊張感もあったりなんかして…(笑)。


さて、受付開始が14:00、ライブ開場が16:00とのことで、この間は酒蔵見学でもできるのかな?てんで早めに行ってみました。酒蔵ですから、いくつもの建物やその間の敷地がありますが、そこを利用して、プチ文化祭な感じです。

主な出し物(?)はこんな感じです。

  • 地元の農業高校による農産物販売
  • 街のコーヒー店が出店
  • アンティークショップの出店
  • 地元の大学によるプチ展
  • 清酒「花の井」の直販
  • 忠英さんCDの販売


お客さんですけど、地元のじいちゃんばあちゃん、子連れファミリーさん、おそらく忠英さんの追っかけの方、若い頃フォークソング好きだったおじさん(私もこの1人w)、など、非常に幅広いです。造り酒屋という独特な空間もあって、ある意味のんびりとした、いい感じの時間の流れになっています。


とりあえず、セットリスト。メモを取りやすい環境でしたので、ちょこちょこ書いていました。間違いがありましたら、優しくご指摘いただけるとありがたいです。

吉川忠英 Natural Style 2014
震災復興酒蔵ライブ in 桜川
2014.9.7
西岡本店・玄米蔵

(Opening Act)
Mandolin X-Section
1.サントワマミー
2.グラナダ
3.マンマ
4.丘を越えて
5.ポールモーリア・メドレー
6.秋桜
7.二つのギター
8.にじいろ
(Encore)
E1.あまちゃん

吉川忠英
1.日曜日の午後
2.デイドリームビリーバー
3.Travolution
4.After Rain
5.棚田姫
6.N.A.D.
7.Father's Hand
8.かがり火の祭り
(休憩)
9.落とし話
10.森の熊さん
11.アンパンマン
12.美しき山
13.Delight
(Encore)
E1.草原の音 モンゴルの伝統的歌唱法ホーミー

忠英さんのギター
YAMAHA LJX26CCY 吉川忠英シグネイチャーモデル…を、2本(?)
Taylorのシングルカッタウェイなヤツ

ライブ会場は、前の3列までは畳を敷いた上に座布団という「桟敷席」。その後ろはパイプ椅子の「椅子席」でした。今回のライブは70名限定ですが、到着受付順の整理番号でした。半分よりちょっと後ろという微妙な番号だったのですが、幸いにも桟敷席2列目しかも中央付近で脇通路という好位置をゲット。しかも後ろが空席だったので、時折足を伸ばして「楽にして」ライブを楽しめました。でもわずか2メートル先には日本を代表するアコギの名手が演奏しているわけで、身体は楽にしつつもそこはかとない緊張感はあります。


感想を少し。いやホント、自分なんかがあれこれ言えるわけないです(とか言いながら、言うけどw)。
ライブ全体として、もう圧倒されました。音場の作り方が最高に上手いですね。エレアコ+PA+スピーカーまでトータルに作ってますよね。ライブ慣れされているから、場数を踏んだ上で、練られてできあがっているわけでしょう。アコギの聴かせどころをしっかりと心得ていらっしゃいます。
今さらながら自分のプレイへのヒントとしても、あえてここに書いておきます。アコギのインストの場合、ベース音のサスティンを長くとるようにして、和音としてきれいに響かせるのが良いのでしょう。中高音でも開放弦をうまく使って、和音全体の音数を増やしておいて、豊かに聴かせる…と。このへんを実に「さりげなく」やっておられます。いやもう素晴らしいです。
演奏の「上手さ」とかは、私が言う事じゃありません。でも、気持ちの乗せ方、これがもう、流石としか言いようがないです。ことに詞のないインスト曲の場合、音の強弱・高低のごく微妙な表情の付け方で表現するしかないわけですが、うわぁ、上手い人ってこんな上手いんだぁ…と思い知らされましたよ。こればかりはライブじゃないとわかんないなぁ。
ボーカルですけど、地声で十分勝負のできるステキな声です。(地声・ミドルボイス・裏声、の三区分でいうと、間違いなく地声です。)このお声であれば、へんにテクニカルにならない方が良いし、また必要もないし。で、すいません、今までボーカリストとしての忠英さんを全く知らなかったんですよ…。いやホントステキなお声ですわ。(実は以前、アコギ雑誌の通販で買ったスタジオミュージシャンの方の作品集が、インストかと思ったら本人ボーカルでして、正直「うーん…インスト集の方が良かったなぁ…」って事があったのです。)
MCの持って行き方も、「つかみ」や間合い、流石ですよ。最高ですよ。マネしたいですよ。落語をお好きだということで、一方通行でない客席とのやり取りにも気を遣っておられます。ライブ全体の雰囲気を作り上げていく、という点に着目し、すごく勉強になりました。


そんなわけで、アコギ大好き、生音大好き…そんな自分の好みを再確認することができたライブでした。忠英さん、サイコーっす!!!