グレージング観測

仮更新。

…ちょっと出かけてきます。

と書いたのが、2日21時20分頃。以下、追記します。

グレージングについては、4月17日の更新で書いた物をコピーします。

グレージング観測って何かといいますと…(前に書いたのをコピーして来ました)

  • 月が、他の天体を隠す現象を、掩蔽(えんぺい=オッカルテーション occultation)または星食といいます(日食もこの一種と言えます)。その際、星が月の縁をかすめるように隠されるのを、接食(グレージング・オッカルテーション grazing occultation)といいます。この観測を、通称、グレージング観測と言っています。地図上に投影すると、食されるかされないかの限界線が1本の線になりますので、限界線星食とも言います。この限界線をはさんで数100mおきに観測者を配置し、恒星が隠されるのを記録して図に描くと、月縁の山の姿が浮かび上がることになります。人数が必要なので、同好会などで観測テーマとされる事がある現象です。うまく行けば、月の縁の山や谷で、星が隠れたり出たりするのが複数回見られるのですが、その出入りの仕方は予測がつきません。古くからの観測や、探査機「かぐや」の観測により、月の縁の地図は作られており、一応の予報はされているのですが、予報にない山や谷が、恒星が隠れたり出たりして観測されることが多いです。


今回は、限界線が山口・広島〜愛知〜神奈川〜千葉と、日本の広い範囲を通ります。隠される星も4等星と明るいですし、月齢も下弦と好条件。おそらく、各地で観測されることでしょう。隣県ですが、はるばる行く価値はあります。精密な観測は無理としても、とりあえず動画に納めることができれば成功のつもりです。




はい。帰ってきました。結論から言うと、今回のグレージング、曇られました。敗退です。


今回の観測隊はOzさんと私。車に乗せていただけるというので、つくば市で待ち合わせ。つくばを出たのが23時過ぎ。現地(大網白里市)までは2時間半くらいでした。
観測候補地を下見した後、近くのコンビニでしばらく休憩。その時に話したことですが、最近はネットで観測地の地図はもちろん、航空写真まで出せるし、GPSで観測地の緯度経度はすぐに出せるし、観測地までの道だってナビだし、観測地に配置しても携帯電話で連絡取れるし、いやはや隔世の感がありますねー、と。そもそも若い頃のグレージング観測というと(以下、長くなるので略w)


なんて話をしているうちに現象時刻が近づいてきます。お天気は、というと、実はつくばを出て千葉方面に向かっている時、晴れゾーンから曇りゾーンに移動している感じだったのです。しかしコンビニを出る頃には雲が切れ、月が出ていました。これはもらったな、と気合いを入れて観測地にセット。田んぼぞいのA地点で私と機材をおろしてもらい、Ozさんは川の土手沿いのB地点へ。といっても直線距離で200m程度でしょうか。
晴れているので勇んで望遠鏡を組み立てます。組み上がって空を見ると、あれっ…?曇っている…!?(←まぁ、「遠征観測あるある」ですね、これ。)うーん、月が見えなきゃ、星なんて余計見えないよね…。
それでも現象まではまだ時間があります。遠くの街灯でピント合わせなどをしていると、田んぼ道の向こうから懐中電灯の光が…。やばっ、人が来る…。実は、観測の時の「人」って、「雲」よりやっかいな事もあるのです(笑)。
 私「こんばんわー」(精一杯明るくあいさつ)
 人「こんばんは。何、やってるんですか?」
 私「いやー、今夜、珍しい現象がありまして、その観測です。月に、星が隠れるんですけど、それを観測に。」
 人「へぇ。」
 人「私はね、毎日、01時半に起きて、散歩してるんだよ。」
 私「お、健康のために、ウォーキングですね。」
 人「あ、わざわざ来たの?どこから?」
 私「茨城からです。」
 人「えー?そりゃまた遠くから。」
 私「ここに来ないと見えない現象なんですよ。」
 人「あー、そう。まぁ、気をつけてね。」
 私「はい。どうもお騒がせしてすみません。」(ぺこぺこ)
実は、何も言われずに通報されたりするのが一番困るわけです。まずは怪しまれずに観測ができるようにしないといけません。おまわりさんの相手はもっと面倒くさいですから…。
現象時刻が迫ってきます。ラジオのスイッチを入れ、短波の時報を流します。昔はJJYという、日本の時報があったのですが、現在はありません。10MHz付近の中国の時報に合わせます。ラジオからピー、ピーという音が流れます。もしもこの時に上の「お散歩おじさん」が来たら、もっと怪しまれていたことでしょう(笑)。あるいは、某国のスパイ…とか(笑)。
結局、月面で何度かピント合わせができた程度。星は、カメラを取り付ける前に眼視で一度見た程度。カメラのファインターでは確認できませんでした。予報時刻の03時18分40秒が近づくにつれ、どんどん濃くなるホッケの縞々…じゃなく、どんどん濃くなる曇り空。月がどの辺にあるのかもわからなくなる始末。時報と一緒にトーク時計が淡々と「○○時○○分です」と時刻を読み上げます。刻々と過ぎて行く時間…。一応、予報時刻の前後2分が観測タイムなのですが、ついに晴れることなく、時間が過ぎてしまいました。はぁ…。力が抜けるわ…。
はい、撤収〜ぅ。終わったらさっさと撤収。忘れ物に気をつけて、静かに撤収します…。


まぁこんな感じで、敗北感あり、でもアクティブに動いたぞというちょっとした充実感もあり、明けていく空を見ながら帰ってきました。帰り道はつくばまで2時間かかりませんでした。


…で、…風邪がぶり返してきました…。