FC-100の接眼部の修理

先日、落札して入手したFC-100*1の鏡筒。ジャンク品ということで格安で入手できました。でまぁ、ボロボロなのを想像していたのですが、これがなかなか良い品物でした。
確かに、フードは曲がっているし、キャップはないし、ファインダーももちろんありません。まぁそのへんは使う分には何ら支障有りませんが、困ったのは接眼部。ドローチューブのラックピニオン。これは、ピントを合わせる時に動かす部分です。このハンドルがカタカタ動いて、ドローチューブがするするっと動いてしまいます。どうも、ラックとピニオンが噛んでいないようです。このままだと、アイピースの重みで観測中に伸びてきてしまうかもしれません。



↑ カタカタします…。


そこで一念発起。チューンナップなんてあまりやった事ない(ニュートン式反射の光軸合わせ程度)んですけど、ツールを入手して、やってみる事にしました。ご覧のとおり、ギヤのカバーを外すためのネジ、頭がブタ鼻のような形になっています。カメラ用語で「カニ目」というのですが、この「カニ目」用のレンチを探すことから始めます。
これまで蓄積した検索ノウハウを駆使して探すこと3日。「カニ目レンチ」から初めて、「カニ目工具」とか「カニ目オープナー」を経て、「ジャパンホビーツール」というお店を発見し、あれこれ探して、ようやくこんなツールを見つけました。


アマゾンだとこちら↓。


レンジファインダーというのは、銀塩カメラの時代、まだ一眼レフは高嶺の花の頃、もちろんオートフォーカスなんてなかった時代に、普及価格帯のカメラでよく使われていた方式で、視差を利用してピントを合わせる方式です。二重像を合致させる…なんて知ってる人は、もしかして四十代以上かも…?
どうもこのレンジファインダーカニ目ネジがよく使われていたらしいのですが、記憶にありません…。よく憶えているのは、一眼レフのセルフタイマーにこのネジが使われていた事です。また、カニ目レンチは、いろいろなレンズを固定しているリング、このリングにわずかなマイナスの切り欠き部分があり、これを回すのに使えます。つまり、レンズいじりが好きな人なら、持っていてもおかしくないツールではあります。(ただし、技術が中途半端だと、バラしたきり元に戻せない事にもなりかねません…。私はその口かなぁ。)


では、早速、ラックピニオン部をバラしてみましょう。


まず、オープナーの間隔を調整します。平行に動かして、頭のネジで固定します。


カニ目に針を差し込み…「押し7:3廻し」くらいの力加減で、ゆっくり回します。


取れた!こんなネジです。


こんな感じで、真鍮製の押さえ金具があり、左側のネジがゆるゆるでした。

結局、ここを締めただけ。テンションを調節する部分とか、そういう難しい部分があるかも…と思ったのですが、そんな事はありませんでした…。ちょっとガッカリ、ちょっと安心。


せっかくなので外したところをパチリ。FC-100の『恥ずかしいところの写真』です(笑)。


こんな感じで、割とあっさりと、修理完了。ごく普通に使える望遠鏡になりました。ただ、カタカタをなおしてわかったのですが、このハンドル部分が微妙に曲がっていて、片方が歳差運動のような首を振る動きをします。もしかしたら前のユーザーさん、この部分から落下させてしまったのかもしれません。それでネジもゆるんだのかも…。(フードにもへこみがありまして、あとで気づいたのですが、もしかしてこの前の震災で落下または転倒したのかもしれません。前のオーナーさんの辛かった思いをくんで、このFC-100を大事にしてあげたいと思います。)


さて、FC-100は、果たしてどうかというと…肝心の月・惑星をまだ見ていません。条件の良い惑星が、今、ないんですよね…。また、月も低いうちしか見ていません。まぁ、楽しみは先に取っておく事にしましょう。
恒星を見た感じでは、うん、さすがフローライト、良い感じに、かっちりとした星像を結びます。雲間から、散開星団M11を見ましたが、微光星がやたら小さく結像して、もう少し明るさがあれば目が痛くなりそうな、そんな感覚です。でもそこは10cm。星雲星団には口径不足なのは否めません。これは、30cmクラスで見慣れていると、どうしても持ってしまう感想だと思います。


このFC-100、今後、月・惑星を主な対象にして、観測したり撮影したり、いろいろ使いたいと思います。

*1:口径10cmの屈折望遠鏡。フローライトという特殊な素材を使い、高性能なアマチュア向け望遠鏡として定評があります。