思い出の曲「Scarborough Fair」

先ほど、たまたま見ていたテレビから、懐かしい曲が流れて来ました。BSフジの「欧州鉄道の旅」という番組で、サブタイトルは「第92回 マンチェスター発・ノーザン鉄道で行くイングランド北部ローカル線の旅」です。
懐かしい曲とは、「Scarborough Fair」。大好きな Simon & Garfunkel の曲です。聞いたことがない、という方は少ないでしょう。以下、動画を紹介します。お時間のある方は、wikipediaのスカボロー・フェアや、worldfolksong.comのスカボロー・フェアを読みながら、お聴き下さい。

スカボロー・フェアは、元がイングランドのトラディショナルソングですので、いろいろな人が歌っています。次のは Celtic Woman のバージョンです。

こちらは、Sarah Brightman。

最後にインストで。


曲中に出てくるスカボロー(Google map などでは発音に忠実に「スカーバラ」と書くようです。)とは、イギリスの東海岸、ノースヨークシャー州にある、北海に面した街です。プレミアリーグに詳しい方なら、“サンダーランドとハルシティの間”と言った方が良いかもしれません。

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曲の元になった「スカボロー・フェア」は、この街で定期的に開かれていたお祭りで、寂しい曲調とはうらはらに、かなりのにぎわいを見せたようです。また、温泉の湧く保養地でもあり、現在もにぎわっている街だそうです。→地球の歩き方「スカボロー・フェアの港町へ」


初めて聴いたのは中学1年か2年の時だったと思います。英和辞典片手に、歌詞カードの対訳と比較しながら自分なりに訳した記憶があります。その詞の意味するところについても、人生経験未熟なりにいろいろ考えました。
トラディショナルの部分の詞ですが、「パセリ、セージ、ローズマリーとタイム」、これらは香辛料ですが、そもそも薬草売りのかけ声だったようです。そう思って口ずさんでみると、なるほど、独特の語感が感じられます。
英和辞典をひきながら、この植物たちの花言葉を調べました。おおよそ、次のような感じです。

  • パセリ…お祭り気分
  • セージ…家庭的
  • ローズマリー…追憶、思い出
  • タイム…行動力

「思春期うつ」に入りかけていた当時は、この詞は、これらの花言葉(=既成の価値観)に対しての訣別の歌であり、この曲は、そういったものから離れて放浪して行く、魂の吟遊詩人が歌うに相応しい曲であると思っていました。(これって深読みしすぎでしょうか???)その頃は『こんな物はしょせん香辛料。なくたって生きていける。』と思っていたのですが、私も年をとりました。最近は、逆に『こういった香辛料がない人生は、なんて味気ないんだろう。』と思うようになりました。若き日のポール・サイモンが、果たしてどんなふうにとらえていたのか、興味津々です。


2番以降で、できるはずのないことをいくつも要求して、それができれば真実の恋人になれる、というくだりがあります。それって、つまり、『真実の愛なんて求めても無駄』ということで、厭世的な詞だと思っていました。これもまた「思春期うつ」の頃に考えていた事ですが、最近になって、あながち嘘ではないなぁ、真実の恋人とめぐり合うのは、縫い目なしにシャツを作るようなもんだなぁ…と思う最近です(笑)。


また、サイモン&ガーファンクルの創作部分である「Canticle(詠唱)」ですが、これはポール・サイモンの、S&Gとして売れる前のソロアルバム「Parl Simon Songbook」に収められた「The Side of a Hill」という曲を下敷きに使っています。これはモロに反戦歌。当時はベトナム戦争さなか、多くの命が浪費されている時代でした。こんな部分が好きです。

  • And to fight for a cause they've long ago forgotten

なんと、この曲も動画が貼れるんですね。ギター1本のシンプルな歌です。聴いてみて下さい。


ギターと言えば、この曲はカポ7、Amで弾きます。特徴的なアルペジオで、指弾きします。こんな高いところにカポをつけて演奏するのは初めてでした。また、曲の最後にはハーモニクスが入りますが、これも、「Scarborough Fair」で憶えたテクニックです。


そんな懐かしい「Scarborough Fair」に再会した今夜でした。