本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星

明け方の45P*1の観測に成功しました。あの本田実氏が発見した、日本人名のついた最初の周期彗星、本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星です。私も含めたオールドファンには、「本田・ムルコス・パジュサコバ彗星」と言った方が通りが良いはずです。これは、名前が変わったわけではなく、『より原語に近い表記をしよう』という天文界全体の流れの結果です。スペルは「Honda-Mrkos-Pajdušáková」ですが、読めますか?なお、パイドゥシャーコヴァーさんはスロバキアの女性天文学者です。


昨晩、宵空のギャラッド彗星を7×50*2双眼鏡で観測しました。その後、軽く休憩するつもりが熟睡してしまい、目覚ましに起こされたのが03時でした。窓を開けると、良く晴れて、星が見えています。早速、11×80双眼鏡を三脚にセットし、目標の、しし座にある彗星が出てくるのを待ちました。
久しぶりに見る明け方の空は、もう冬の星座が出そろっています。彗星が上ってくるまでの間、冬空のM天体めぐりを楽しみました。最近、視力が衰えたのを自覚しているのですが、口径8cmの双眼鏡はさすがに威力があります。M78やM79も楽に見えました。
わが家は十分、田舎にあるつもりなのですが、それでも周囲には外灯が多く、観測の時には邪魔で仕方ありません。もっと暗くても、犯罪の起きる頻度は変わらないと思うんですけどね…。いや、むしろ、一番犯罪をしやすいのは、「明るくて誰もいない」状態だと思うんです。この「明るくさえすれば防犯効果が上がる」って、節電を期に考え直してくれないかな…?いやいや、天文屋なんていうマイノリティの意見ですから、聞き流して下さって結構です…。
04時頃、薄明が始まった頃、ようやく東側の林の上に目標の空域が上ってきました。一つずつ、恒星をたどって行きました。その途中で『あ、これだ』と気づきました。一つ、わずかににじんだ天体があります。この見分け、経験の少ない観測者には難しいと思いますが、そこはそれ、我ながら手慣れたものです。一度見つけてしまうと、だんだん良く見えて来ます。かなり中央集光のある、しっかりした姿です。
観測終了後、比較星の光度をパソコンで調べ、観測値は7.3等と出ました。もう少し明るい値、6等台が出ても良いくらいです。
今回の回帰では、8月に地球に接近しましたが、太陽方向だったので観測されていないようです。見かけ上、太陽と離れてきた今月から、観測が報告されるようになりました。この後しばらくは明け方の低空、同じような高さをキープしつつ、どんどん暗くなっていくとの予報です。つまり、今が一番の観測チャンスで、この時期に晴れてくれたのは本当にありがたいことです。
明日あたりから、またお天気が下り坂なので、果たしてもう一度見られるかどうか…微妙なところです。

*1:Pは周期彗星(Periodic comet)の意味。45番目に登録された周期彗星。

*2:倍率7倍、口径50mmの双眼鏡。この場合、7×50と表します。