今夜の一冊「ヒゲのウヰスキー誕生す」

珍しく、「本」更新です。

たまには本を読みながら酒を飲むのも良いものです。しかも、この本は、明治時代に単身スコットランドに渡り、ウィスキーの製法を学んで日本に持ち帰った、竹鶴政孝の伝記です。読む前からわくわくでした。
日本のウィスキーを口にする人、特に日本人の方にはぜひとも読んでいただきたい本です。文明開化に始まる日本人と洋酒との出会い、イミテーションの横行、日英同盟とウィスキー、酒造会社の夢、若き技術者、サントリーの前身である寿屋の創業者・鳥井信治郎との関係。そして竹鶴はスコットランドに赴きます。
日本で最初のウィスキーメーカーはサントリーですが、その初代工場長に迎えられたのが竹鶴政孝です。しかし、今日のサントリーのホームページには竹鶴の名前は一切出てきません。これが何を物語るのか私は知りません。もしかすると、本書に書いていないような激しい対立の末、竹鶴は独立してニッカを立ち上げたのかもしれません。そのへんは、あるいは行間を読み、あるいは想像力をはたらかせる以外にありません。ただ、読み終えた今、至極簡単にこの二社に対するイメージを言うと、サントリーは商売人、ニッカは職人です。
もちろん、現在の日本のウィスキーの普及に果たしたサントリーの功績は多大なものがあるのですが、同時に、安いウィスキーの味を日本人に刷り込んでしまったという、功罪相半ばであると思います。対してニッカは、黙々と我が道を行く、といった感じですね。本書を読んでニッカがますます好きになりました。



余談ですが、やはり書かずにはいられない…。サントリー社長の東北熊襲発言とか、美味しんぼ70巻とか、興味のある方は検索してみてください。後者については、賛否いろいろですけどね。話の種にはなるので、知っておいて損はありません。