うれしいニュース

今日はうれしいニュースが飛び込んできました。日本人による新彗星の発見です。


 ★池谷さんと村上さんが新彗星を発見←(リンク先は天文雑誌「星ナビ」のサイトです。)


私は、1970年代初頭から天文を始めたのですが、当時から日本人のアマチュア天文家による新彗星の発見が盛んでした。その頃の一般的なスタイルは、自作の反射望遠鏡で眼視捜索、つまり目で見て捜すというものです。そのためにはある程度の口径(口径15cm程度が多かったです)で、低倍率・広視野、かつ結像性能の良い望遠鏡が必要でした。市販されているメーカー品ではその条件は満たせず、多くのアマチュアは望遠鏡を自作していました。中でも手先の器用な人は、反射望遠鏡の心臓部である凹面鏡から自作していました。これには『自作すると比較的安く、大きめの望遠鏡を得られる』という理由も大きかったと思います。
そんなアマチュアの中で伝説的に語られているのが、教科書などにも良く載っているイケヤ・セキ彗星を発見した池谷薫さんでした。氏は自分で磨いた鏡を使った自作の望遠鏡で、1960年代に『5年連続で1個ずつ新彗星を発見する(しかも全てが世界第一発見者!)』という神業を達成され、今でも多くのアマチュアの尊敬を集めています。当時(今でも…かも)、彗星を探している人で、鏡の裏側に池谷さんの写真をお守り代わりに忍ばせている人を何人も知っています。『神様、仏様、池谷様』…まさしくそんな感じです。
時代は流れ、彗星捜索も写真捜索が行われるようになり、さらにプロの天文台がCCDカメラ(早い話がデジカメです)による自動捜索が行われるようになってきました。この時代において、彗星の眼視捜索者はある意味『絶滅危惧種』に近いものがあるように言われていました。
ところが2002年、『池谷さんが彗星発見(C/2002C1 = 池谷・チャン彗星)』というニュースが35年ぶりに世界を駆けめぐります。方法は昔と同じ眼視捜索。これは日本人としても誇り高いと同時に、眼視捜索もまだまだ捨てたもんじゃないんだ、と世界中の彗星捜索者が感じたと思います。池谷さんのファンとしては、すっかり過去の人かと思われていた池谷さんが、「お元気」どころか、現役で彗星捜索を続けておられた!それだけでも大歓喜でした。その池谷さんが今回またも快挙達成。それだけでも十分うれしいニュースなんですけど…。


もう一人の発見者の村上茂樹さん。現在は新潟県にお住まいですが、氏が茨城県にいる頃、何度も一緒に星見している、同好会の星仲間なんです。いやもう、びっくりうれしいですよ、ホント。(…って、村上さんが検索してここのブログ見ても誰だかわからないでしょうけどw 観測報告のメーリングリストで…って書いておくとわかってくれるに違いないww)
村上さんが1個めの彗星(C/2002E2 = スナイダー・村上彗星)を発見された後、一度、新潟県に出かけた時に寄らせていただき、望遠鏡談義、観測談義をおききした事がありました。同好会の会報の記事のために、昼間なのにわざわざ望遠鏡を組み立てていただいたりもしました。今回お使いの望遠鏡もあの時と変わらない口径46cmの大きな反射望遠鏡です。この望遠鏡を使った彗星捜索の方法については、村上さんのホームページをご覧ください。
 ★村上さんのホームページ→Shigeki Murakami's Web Page
多くの捜索者と同じく、村上さんも池谷さんリスペクトと記憶しています。前回は同じ年に発見。そして今回は同じ彗星を発見されるなんて、村上さんも最高にうれしいんじゃないでしょうか。新彗星、しかも池谷さんと一緒なんて心底うらやましいですが、この栄誉の陰にはたゆまぬ努力があります。私みたいに酒飲んで寝てるだけのぐうたら天文家にはそんなご褒美は回ってこないだろうなぁ(笑)。


新彗星は、明け方の東の超低空、おとめ座にあります。ぜひ観測したいのですが…。
本当はさっさと寝て早起きするパターンに持ち込めば良かったのです。が、明日の徹夜バンド練習の準備やら何やらで帰宅後今に至っております。うーん、明日のこともあって余計に今夜はしっかり寝なくちゃいけない(ボーカルはちゃんと寝ていないと声が出ないんです…)んですけど、今日は「美女学」の日なのですぐには眠れないし、それ以前に興奮しつつこの更新書いてるから眠れる状態じゃないし、でも「美女学」終わってから仮眠して04時頃に起きて観測しようかな、と思っています。問題は、起きられるかどうかもさる事ながら、空が明るくならないうちに彗星が東側の林から出てきてくれるか…って事ですねぇ。