フランケンシュタイン対地底怪獣

東宝の特撮映画DVD「フランケンシュタイン対地底怪獣」を見ました。「地底怪獣」には「バラゴン」とルビが振ってあります。

フランケンシュタイン 対 地底怪獣 [DVD]

フランケンシュタイン 対 地底怪獣 [DVD]

公開は1965年。以前見た「サンダ対ガイラ」の前作にあたりますが、ストーリーは続いてはいません。設定が続いている、と言えるでしょうか。


60年代特撮ならではの見所がたくさんあります。
まずフランケンシュタイン。その異形な顔の作り込みが非常に印象的です。これ、「猿の惑星」のマネかと思いきや、同映画が公開されたのも同じ1968年、同時期なんですね。ついでに「2001年宇宙の旅」でも同じ様な類人猿のメイクがありますが、これも1968年の公開でした。特殊メイクの当たり年だったのでしょうか?また、フランケンシュタインの子ども時代も、子役の熱演に目を引かれます。
フランケンシュタインは、自身の事をどのように考えていたのか、と思うと悲しくなります。アイデンティティを持つだけの知能はあったんじゃないかと思うだけに。自分が何のために生まれたのか…いや、これは知らない方が良かったに違いありません。そういう視点で見ると、この映画も反戦メッセージを内包した、深いものに思えて来るのです。
バラゴンですが、「怪獣総進撃」ではホントのチョイ役でかわいそうだったのですが、さすがにこの映画では大活躍です。地上に出てきた地底怪獣としては驚くほど敏捷でジャンプ力があるのにびっくり。先入観を吹っ飛ばされました。地底で培ったスタミナはあるようですが、光線技は非力。フランケンシュタインに全然ダメージを与えません。
また造形としては、地底怪獣なのにあのつぶらな瞳って、どうなんでしょう?地底にいる動物って、目が退化しちゃう場合もありますよね?いや、逆にわずかな光を求めるために目が大きくなったのかな?また、バラゴンの一番のチャームポイント(笑)の大きな耳(…ですよね?)。これも地底でわずかな音を聞き分けるために進化したのでしょうね。
バラゴンの体型と背中を見てピンと来ました。これってパゴスやネロンガの原型ですよね?wikipediaで調べたら当たっていました。さらに、マグラー、ガボラと進化(?)しています。そんなふうにボディが忙しかったので「怪獣総進撃」ではチョイ役だったのかも?
これ、「巨大人型ヒーロー vs 怪獣」の原型ですよね?フランケンシュタインとバラゴンの格闘を見て、そう思いました。怪獣同士の格闘戦はそれまでにもありました(「ゴジラの逆襲」は1955年公開。)が、片方が人型というのは、もしかしたら初めてじゃなかったのかな?そういう意味では記念碑的な作品です。特撮映画がお好きな方、ぜひ一度、見てみて下さい。
DVDにはエンディングが2種類収録されています。映画で公開されたものと、最初にテレビで放映されたものと2種類のエンディングがあるのです。リキマニさんに聞いて初めて知りましたけど、楽しみにしていました。これから見る方、ぜひ両方とも見て比べてください。



以下、ちょっとしたネタバレがあります。これから見る方は見ない方が良いです。(既に、上にけっこう書いてますが…)
怪獣映画にありがちなツッコミ所が二つ。いや、決して揚げ足を取りたいって訳じゃなく、こういう所を見つけるのも特撮映画の見所の一つであり、言ってみれば『愛すべきポイント』なのですよ。

バラゴンっていつ命名されたんだろう?少なくとも一般人が知っているはずはないのですが…
  ボーエン博士「バラゴンが後方2マイルに迫っている。」
  村人「あぁ、そうですか。」
…もっと驚けよ、村人さん!私なら「バラゴン?そりゃ何ですか?」って聞くと思います。

エンディングA(仮称)にて、フランケンシュタインがバラゴンを倒した後、唐突に巨大タコが出現します。その唐突さだけでも大いに笑えますが、もっと笑えるのが次の会話です。
  川地「あれは何だ!?」
  博士「タコじゃないか。」
…巨大タコの突然の出現に全く驚かない博士!
この会話に驚くのは観客だったりします。

…というわけで、大いに楽しんだDVD作品でした。