ちょっとコーヒーでも一杯…って時、若い人だと、スター○ックスやド○ールなど、低価格で気軽に楽しめるお店に行くのでしょう。スツール風の高い椅子、丸いテーブル、通りに面したガラス張りの明るい店…新しいコーヒーの楽しみ方のスタイルがあります。
それもそれで好きなのですが、オジサンには「喫茶店でコーヒー」というとこんなイメージが浮かびます。椅子は柔らかめのソファーで色は渋い茶色系、テーブルは四角くて低め、全体的にやや薄暗くて隠れ家的なイメージ。嗚呼、ノスタルジック。
先日、平日の真っ昼間に時間が空き、都内で時間をつぶす事になりました。夕方から予定が入っているので、お酒を飲むわけにも行きません。ちょっと遠出をした後で疲れているので体力は温存したい…、映画は見たばかりで続けたくない…、ということで喫茶店に入りました。*1
重そうな木の扉。開けるときにはちょっと勇気が要ります。
「いらっしゃいませ」
迎えてくれたのは、レジ近くにいたウェイターのおじいちゃん。奧を見るとコーヒーを作っているマスターらしき人もおじいちゃんです。お客は3組ほどいて一安心。これが全くいなかったりするとちょっと(かなり?)いやですよね。
遠慮して二人用のテーブルに座ろうとすると
「あ、広いところにどうぞ」
と四人用のテーブルに座らせてくれました。ウェイターさんは常連さんといろいろ話をしていて、水とおしぼりが出てくるまでやや時間がかかりました。で…メニューがありません…。周囲のテーブルの上にもありませんし、壁にも貼ってありません。
『こっ、これは!?もしや座るだけでナンボの店に来てしまったのか!?』
ドキドキすること数分…。忘れた頃にウェイターさん
「ご注文は?」
『来たっ!ここは慣れてるフリして…』
「ホット一つ」…(笑)。
ホットコーヒーが来るまでに、店内をさりげなく見回します。うんうん、昭和の香り、懐かしさを感じる古そうな喫茶店ですね。茶色いソファー、四角いテーブル。なかなか渋い、でも気取りのないお店です。そして、雑誌架には新聞や雑誌があるのですが、ちょっとウケたのが、何の遠慮もなく置いてあるえっち系の週刊誌!(笑)。勝手に思い描いていますけど、ここ、たぶん、東京の下町で昔からの馴染み客を相手に、細く長くやってきた店なんだろうなぁ。
コーヒーが来ました。注文してから来るまでは早かったなぁ。器具が見えなかったのですが、サイフォンでなくドリップだと思います。一緒に来た伝票をおそるおそる見ると、\500。まずは一安心です。これでゆっくり時間がつぶせるな、とホットしました。ホットコーヒーだけに。
あらためて他のお客さんを見てみます。奧の四人掛けの席では仕事の話をしているサラリーマンが二人。その隣の四人掛けの席には若い男女が楽しそうにおしゃべり。後から入ってきて二人掛けの席に一人で座っているおじさんは買い物帰りらしく、デパートの紙袋を向かいの席に置いて、えっち系週刊誌を読んでいます。真後ろの席に一人で座っているおじさんは、どうやら車が動かなくなって長時間店にいるらしく、恐縮しつつウェイターさんとあれこれ話をしています。いいなぁ、こんな感じならコーヒー一杯で2時間いてもちっとも不自然じゃないぞ。こういう感じって、店内の渋い雰囲気と合わせて、何となく「昭和の喫茶店」を思い出します。それも五十年代でなく、たぶん四十年代の*2。唯一、そのイメージと違っているものは…サラリーマンが携帯電話で得意先と打ち合わせをしていた事くらいでしょうね。
メニューもないし、営業時間もわからないし、砂糖は下げられちゃうし、禁煙席もない*3けど、この店ちょっと気に入りました。大通りから路地一本入っただけで、都会の喧噪を離れて、ひとときくつろぐ事ができました。身体が疲れている時の格好の気分転換です。また東京で時間が空いたら、この店に行ってみたいと思います。
【追記】コーヒー\500で1時間半ほどのんびりできました。でも、コストパフォーマンスを考えると、ネットカフェで3時間\980のパックもなかなかですね。ネットは使い放題だし、ソフトドリンクは飲み放題だし。まぁ、必要性と気分によって、いろいろ使い分けたいと思います。