乙一

桃子姫もご愛読の、「乙一(おついち)」の本を読んでみました。我ながらミーハーだなぁ…と思いますが、まぁこんな形での“本との出会い”があっても良いでしょう。(…って…同じこと、前にも書いた気がするけど…。)

書評をナナメ読みしたのですが、乙一氏の作品の特徴は、「ホラー系」「切ない系」だそうです。そこで、ホラー系と切ない系、各1冊ずつ読んでみました。ホラー系は「死にぞこないの青」、切ない系は短編集「さみしさの周波数」です。なぜこれらを選んだかというと「薄い」からです。正直、読書するクセがついていないので、中途で飽きるかもしれないと思い、読み終わることを第一目標にしました。なので、書店に並んでいた文庫本のうちで最も薄いものを選びました。


以下、若干のネタバレを含みます。


「さみしさの周波数」は上野駅で買い、中野駅に行くまでの電車で最初の作品「未来予報」を読みました。ハロコンの日の昼頃のことです。でも読むのが遅いので、中野駅に着いたのに数ページ残ってしまいました。もうすっかりお話に入りこんでいましたので、降りてすぐのベンチに座って、残りのページを読んでいました。いやこれ、切ないわあ…。ちょっとウルッと来たまま、中野サンプラザに向かったのは内緒の話です。
短編の残りの3本も、次の日には読み終えてしまいました。どれも面白かったですけど、「手を握る泥棒の物語」なんて、女の子と握手するシーンがあるんですよ。あぁ、握手会で、こんな事があったら良いなぁ…なんて思ったりもします。ほかの2編も、文句なく面白いです。
死にぞこないの青」は、最初の頃の、何気ない、小学生の日常を活写する文章でちょっと感動しちゃいました。いちいち思い当たる節のある、細かい思い出。新学期だったり、夏の暑い一日だったり、そんな何気ない日常の描写を読んでいて、引き込まれました。恥ずかしい話ですが、若い頃は「いつか自分でも文章でメシ食えないかなぁ」などと妄想したことがありますが、でもこういう文章を読むと、ダメだわぁ、自分にはここまで書けないわぁ、まいったなぁ、とあきらめがつくというものです。さらに、自分でもちょっとしたイジメに合った経験もあり、一気に感情移入しちゃいました。でも、私には「アオ」は見えなかったし、復しゅうもしませんでしたけどね。それでもかなり心に響くものがあります。そして、決して破滅的ではない終わり方も良かったです。
味をしめて、次の短編集、乙一きみにしか聞こえない」、森博嗣地球儀のスライス」を買ってきまして、読み始めました。良い歳してライトノベル…なんて思いますけど、まぁ、良い歳して中高生アイドル追ってるんですから、一つくらい「良い歳して趣味」の項目が増えても、なんて事ないでしょう。
ついでですけど、「きみにしか聞こえない」も薄い本です。本屋で見たのですが、綾辻行人時計館の殺人」はどうしても買う気になりませんでした。厚いから…(笑)。さすがに5センチはないよ、桃子姫。でも2.5cmくらいはありましたね。文庫本で2cm超えたら充分「厚い本」ですよね。これを読破したんですよね、桃子姫。いやぁ大したもんです。これからは子供扱いしたらバチがあたりそうです。


この本たちに出会わせてくれた桃子姫に、あらためてお礼を言いたい気持ちです。ありがとうございます。久しぶりに胸キュンな切ない気持ちに出会い、若い日々を思い出しました。こんなふうにキュンとしたり(ハァーンとしたりw)する事って、けっこう日頃のストレスを解消できるんですよね。これ、ここの読者の皆さんなら、わかってもらえると思います。


オマケです。角川スニーカー文庫「さみしさの周波数」の帯より。「文庫ソムリエがおススメする、元気の出る角川文庫」という一文があります。さて、皆さん憶えてますか?ベリーズ宮殿での桃子姫のお仕事。それは、「笑顔ソムリエ」。そう、笑顔ソムリエさんは、素敵な文庫本も教えてくれるんですよ!