S&G 2日目

サイモン&ガーファンクル 東京ドーム二日目,7月11日のライブレポートです。

Simon & Garfunkel The 2009 Concert Tour / Japan
2009.07.10-11 / Tokyo Dome


開場時間よりもだいぶ早く着きました。グッズ販売スペースもまだすいていましたので、日替わりTシャツなどを購入しました。
それにしても、観客の年齢層が高い!平均で、私よりも高いんじゃないですかねぇ?S&Gのファン層を表しています。この年齢層だったらS席13,000円も安くはない、と感じるかもしれませんね。グッズ販売列はかなり紳士的で、おとなしい感じでした。

昨日,7月10日は19:00開演でしたが,今日は17:00。まだ明るさの残る時間です。会場はドームですので,内部全体が薄明るく,「外野フライがとりづらい時間帯」です。そんな独特な雰囲気の中,コンサートが始まります。私の勝手なイメージですが,薄暮のニューヨークの街角,ふと見上げた空…なんて連想しました。(行ったことありませんが…)さぁ,コンサートの始まりです。
(Video)=BGM America

01.Old Friends 〜 Bookends
どの曲で始まるのかな,と,わくわくして待っていましたけど,最初のアルペジオが響いたとき,会場から思わず「おぉー」とどよめく声が聞こえてきました。「旧友」これで来るとはね!やってくれるなぁ!
67歳の二人,サイモンとガーファンクルが,こうして今,同じステージで歌っています。波風が立ったり反発したりした時期もあったと聞きます。でもこうして今,二人があの頃の曲を再び歌っているというのは,感無量です。私は,日頃からこの曲は「旧友」じゃなくて「老友」じゃないか,と思っていました(詞の内容はそうです)が,今夜はやっぱり「旧友」,古くからの友で良いような気がします。

02.A Hazy Shade Of Winter
続いては「冬の散歩道」。他のアーティストがカバーしたり,ドラマの挿入曲になったりして人気があります。イントロのリードギターが格好良いんですよね。でも自分で歌うには早口すぎるパートがあって難しいのです。

03.I Am A Rock
ベース音と,ハンマリングオンとプリングオフの繰り返し…特徴のあるイントロが流れてくると,すぐにこの曲だとわかります。昔々のギターキッズ(今はオッサン)でこの曲を弾いた方は多いと思います。もちろん私もその一人です。
それにしてもこの曲を歌うとは思いませんでした。若い未熟な時代のどうしようもない孤独感を歌った歌で,ライブで歌ったのを聞いたことがありません。ポールの中では封印した曲なのかと思っていました。それとも,十分年をとったので,若い頃の感傷的な自分を笑いながら見られるようになったのかもしれません。

04.America
先ほどBGMで流れていた「アメリカ」。アメリカを探しに行く歌です。ポールが実際にガールフレンドと一緒に旅をしたときの事を歌った曲です。あれから時は流れ,彼らが探していた「アメリカ」はどんな風に変わったでしょうか?

05.Kathy's Song
アートが「my favorite song」云々と言ったので,何の曲かな?と思ったら…「キャシーの歌」を,ポールのギターでアートが歌う。これってけっこうレアです。この曲はポールが一人でイギリスに渡って作った曲で,ポールが一人で歌う事がほとんどなのです。
(MC)
音が悪くて聴き取りづらい上,ヒアリング能力がないので,MCはほとんどわかりません。ひろい聞きという感じです。それでも,アートが「…eleven years old. …じゅう・いち・さい」と日本語まじりで話しているのがわかりました。たぶん,二人の出会いの頃の話をしていたのだと思います。

06.Hey Schoolgirl
これはハイスクール時代の二人が「トム&ジェリー」名義でヒットさせた曲です。この曲の成功によって,プロになる事を本気が考えたんじゃないかなぁ。
次は「fifteen years old. …じゅう・ご・さい」とまた日本語まじりで。どうやら「Hey Schoolgirl」の印象的なフレーズ「Who-bop-a-loo-chi-bop」の部分について話しているようです。(ここの部分,長いこと「うー・ぱ・ぱ・るちぱー」と憶えていました。)エバリー・ブラザーズと聞こえた気がしましたので,次の曲は彼らの曲なのかもしれません。

07.Be Bop A Lula
実はこの曲だけタイトルが全くわからず,ネットで検索して知りました。(早々にセットリスト上げてくれたこちらのブログ■■さんに感謝!)当時流行していたロックンロールはこんな感じなんでしょう,軽快でノリノリな感じです。

08.Scarborough Fair
ポールのギターだけで演奏する「スカボロー・フェア」。おなじみの哀愁に満ちたメロディがドームに流れます。この曲はスコットランドに伝わる曲で,ポールがイギリス時代に採譜した曲の1つです。

09.Homeward Bound
「早く家に帰りたい」。やはりイギリス時代のポールの曲。この曲もギターキッズはこぞってコピーしたものです。イントロのハンマリング・オンも格好いいし,歌に入ってからはベース音が半音ずつ下がっていくのも素敵です。で…今日は,家に帰りたくないんですけど…。

(Video)=BGM The 59th Street Bridge Song
ここで少し休憩時間のようです。ビデオは,映画「卒業」のダスティン・ホフマンが出てきて,セリフを言っています。次の曲がわかってしまいました…。

10.Mrs. Robinson
映画「卒業」のために書かれた「ミセス・ロビンソン」です。主演のダスティン・ホフマンも71歳ですが,ロビンソン夫人を演じたアン・バンクロフトは4年前に73歳ですでに亡くなっています。時の流れを感じますねぇ…。
(途中で違うメロディが入っていたけど,あれは何の曲だったんでしょう?)

11.Slip Slidin' Away
「スリップ・スライディン・アウェイ」これは意外でした。ポールのソロの曲で,たしか「グレイテスト・ヒッツ・エトセトラ」に入っていた曲だと思います。知っている人は少ないと思いますが,けっこう好きな曲です。

12.El Condor Pasa
チャランゴトレモロ奏法が始まると,すぐに「コンドルは飛んで行く」だとわかります。ポールが世界のさまざまなメロディを吸収しだした,その最初の曲はこれじゃないかなぁ。哀愁を帯びたメロディは,日本人好みかもしれません。

13.Bright Eyes (A.G solo)
ソロのコーナーは,アートが先攻のようです。「ブライト・アイズ」,この曲はアニメ「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」のテーマ曲です。アートの柔らかい歌声がドームを満たして,すごく良い感じです。

14.A Heart In New York (A.G solo)
アートのソロ2曲めは「ハート・イン・ニューヨーク」。セントラルパーク・コンサートでも歌った曲です。二人にとってニューヨークはふるさと。とてもゆかりの深い曲なのです。

15.Perfect Moment (A.G solo)
この曲知りませんでした。アートが「This is my own song」と言っていたように思いました。あとで調べてみます。

16.The Boy In The Bubble (P.S solo)
今度はポールのソロです。個人的にはアルバム「ポール・サイモン」「ひとりごと」の曲が聴きたかったんですけどね…。ワールド・ミュージック以降のポールはあまり聴いていないのでよくわかりませたん。でもこの曲のアフリカン・リズムはなかなか良い感じで,これを世界に紹介したのがポールなんですよね。

17.Graceland (7/10は「Diamond On The Sole Of Her Shoes」) (P.S solo)
唯一,昨日と曲が違ったのがこれです。1986年のアルバム「グレイスランド」のタイトル曲。グレイスランドとは,かのエルヴィス・プレスリーの邸宅のことです。

18.Still Crazy After All These Years (P.S solo)
ソロの最後は「時の流れに」。この曲は,今夜にふさわしいでしょう。タイトルを直訳すると「全ての年月を経てもまだ君に狂っている」ってわけで,あるいは恋人との再会であったり,アートと再びデュオを汲むことでったり,たくさんの事についてこの曲のタイトルが使えるわけです。でも,今日のお客さんにとっては,サイモン&ガーファンクルに「まだ狂ってる」と,自分のことを歌われたように思うでしょう。

19.The Only Living Boy In New York
再びサイモン&ガーファンクル。「ニューヨークの少年」,これは解散直前,メキシコに一人で旅立つアートの事を歌った曲だとされています。寂しい気持ちながらも,去っていく友にエールを送っています。

20.My Little Town
1975年に一時的に再結成された時のシングル「マイ・リトル・タウン」。あの時はホントうれしかったなぁ。私がリアルタイムで聴いた初めてのシングルがこれで,シングルレコードを聴きながら,深夜までコードコピーした思い出があります。途中で転調するので四苦八苦していました。サビのアップテンポになるところ,けっこう気持ちが盛り上がるので大好きです。この曲が聴けると思いませんでした!うれしい誤算です!

21.Bridge Over Troubled Water
そしてコンサートは最高潮に。名曲「明日に架ける橋」です。1番がアートの独唱,2番はポールの独唱,3番は二人で,という素敵な演出です。二人の歌声がドームに染み渡っていく感じがします。近くの観客で,涙をふいている人もけっこういたなぁ。きっとそれぞれの胸の中に,この曲に関する思い出があるんだろうなぁ…。(私も涙腺ゆるかったです。)

 (encore)
二人もバンドも引っ込んだので,あぁここで終わりだな,と思いました。そしてアンコールの拍手に参加します。しかし,ドームは広いですから,音の届く時間差があり,きれいな手拍子にはならないんですよね。仕方ないですけど…。

22.The Sounds Of Silence
アンコールです。「サウンド・オブ・サイレンス」は歌わないのかなぁ?と思ったら,ここで来ました。この曲も二人の代表曲,出世作と言っても良いでしょう。中学〜高校時代,愛唱曲であり,得意曲でもありました。
さて,これで最後かな,終わりかな,あの曲やってないぞ,と思ったら…

23.The Boxer
来た!「ボクサー」来たよ!今一番好きな曲です(「一番」は変動するのですがw)。スリー・フィンガー奏法で軽快に弾き語りする曲で,自分の得意曲でもあります。これが最後とは,大々満足です。
この曲の間奏で,電子楽器「テルミン」が出てきて驚きました。これ,手で演奏するのですが,楽器には手を触れずに演奏するという不思議なものです。(くわしくはwikipediaテルミン」へ)こういう楽器があるのは知っていましたけど,実際にステージ上で見るのは初めてでした。

 (encore 2)

24.Leaves That Are Green
鳴りやまない再アンコールの拍手の中,二人が再登場。「木の葉は緑」。ギター1本伴奏で,「ポール・サイモン・ソングブック」で聴けるバージョンです。緑の木の葉が茶色に変わっていく,時の移ろいを歌った曲ですが,今のこの場にぴったりかもしれません。

25.Cecillia
最後は「セシリア」。この曲で終わるっていうのは,私が初めて買ったLP「グレイテスト・ヒッツ」と同じです。とかく深刻になりがちなS&Gファンに対して,そんなに暗くならないで,愉快に行こうよ,ってメッセージかもしれません。(これ,確か同LPのライナーノーツに書いてあった言葉です。)
ちなみにこの曲,「ハロモニ@」のエンディング曲でしたので,このブログ読者の皆さんも聴いたことがあるという方も多いでしょう。
ここでバンドのメンバー紹介。

26.Cecillia(reprize)
曲が再び始まると,会場が明るくなって,これが最後の演奏であることを教えてくれます。そういえば後楽園の時も最後は明るくして「Late In The Evening」を演奏した思い出があります。二人はこの終わり方,好きなのかな?まぁ,はっきりわかって良いですけどね。

こうして2時間強の至高の時間は幕を閉じました。ドームなので音質なんかは期待しませんでした。ただサイモン&ガーファンクル,本物の彼らを見たい,歌っている彼らと同じ空間の中にいたい,そんな気持ちでのコンサート参加でした。でも,予想より音も良かったですし,代表曲はほとんど聴けたし,たいへん満足度の高いコンサートでした。まぁ何より,自分がサイモン&ガーファンクルを大好きだ,っていうのが全ての満足の源ですけど。
それにしても,二十一世紀になってサイモン&ガーファンクルの本物が見られるとは思いませんでしたよ。長生きはするもんですねぇ。
いやホント、最高のコンサートでしたよ。ドームなのにこれだけ聞かせるっていうのは、あなた方どんなに素晴らしいんだよ!心から言わせてよ「ありがとう!」