日食観測の機材

皆既日食まで残り少なくなって来ました。
私のツアーでは大きな機材は宅配便を利用します。この時期、日食のために物流も渋滞が予想されますので、10日までに営業所に持ち込む予定です。なので、この土日は最終点検に当てました。
…といっても、形が出来上がったのはまさに今日です。実は、先週の「キューティランド3」の後、秋葉原の望遠鏡販売店に行ったのですが、その時に注文したパーツ*1が予定の水曜日を過ぎても届かず、土曜日に催促の電話を入れ、今日の午前になってようやく届いたのです。(ちょっと冷や汗…)
さて、これが今回の日食観測機材です。天文マニアとしてはかなりシンプルな方です。

天体望遠鏡用のアルミ三脚に、ポルタ経緯台*2。左が眼視用(目で見るため)の望遠鏡、右は撮影用の一眼レフデジカメ。



望遠鏡(商品名「ファミスコ」*3)は口径60mm、焦点距離400mm。超広角アイピース(=接眼レンズ)「ワイドスキャン20mm*4」を使用して20倍、視野4度の超広角望遠鏡となります。コロナは非常に大きく広がっているので、普通の望遠鏡では視野に入りきらないのです。いや、これだって、はみ出てしまいますけど。
デジカメは「ペンタックス*istDS*5ボディに、マニュアルフォーカス*6時代の望遠レンズ、200mmF4に2倍テレコンバータを使用し、400mmF8相当とします。以前、月の作例をこのブログに載せましたが、太陽ではまだテスト撮影ができないので、やや不安があります。(…でも、部分食はともかく、どうせ皆既食はリハーサルできませんからね。)


部分食の観測には、このように濃いフィルター*7を2枚重ねで使用します。決してフィルターなしで太陽を見てはいけません!!


皆既になったらフィルターを外します。(外さないと何も見えません…。)皆既が終了したらすぐにフィルターをします。でないと望遠鏡やカメラの内部が焦げてしまいます。


この観測機材のうち、カメラ本体と望遠レンズは機内持ち込み手荷物にしますが、他のパーツは一括して宅配便で現地に送ります。その他の旅行用品、着替えなども宿に直接送ってしまいます。いやー、こりゃ楽です。国内ならではの気楽さです。海外での観測だと、送ったりしたら無事に着くかどうかわかりませんからね。実際、『飛行機に乗る時に預けたはずの荷物がとうとう出てこなかった』話や『全然違う国に行く飛行機に乗せられてしまった』話も聞きます。せっかくの機材が観測に間に合わなかったら、泣くに泣けないですから。
さて、そんなわけで日食の準備もいよいよ本格的になってきました。今週、来週にかけてあれこれ準備して、再来週にはもう出かけます。う〜ん、オラ、なんだかワクワクしてきたぞ。

*1:商品名「ポルタ用マルチプレート」。下の画像で、望遠鏡とカメラを平行に固定しているプレート。

*2:ビクセン製。経緯台とは、最も基本的な望遠鏡の架台で、望遠鏡をタテとヨコに動かすことができる。ポルタは、中堅望遠鏡メーカーであるビクセンが2005年に出したヒット商品。微動装置もついて、初心者にも扱いやすい。

*3:トミー製。1985年、ハレー彗星が接近した頃に発売された。ネーミングは当時流行った「ファミコン」にちなんだと思われる。おもちゃメーカーが作った望遠鏡だが、レンズの優秀さに定評があり、初心者だけでなくベテランも天体写真の撮影に使ったりした、名機。カラーは白と赤がある。

*4:ユニトロン製。1980年代後半、超広角アイピースが次々に発売されたが、その中でも国産の草分け的存在。比較的お手頃価格の割には良く見える。

*5:2003年秋の製品。610万画素。

*6:今やオートフォーカスが当たり前になりましたけど、写真の基礎はピント合わせです。オートフォーカスは便利なようですが、天体写真のような場合はコントラストが低い対象なので機械が合わせてくれない場合があり、また、オートフォーカスレンズは、ピントリングをいっぱいに回しても無限大に固定されるわけではないので、かえってマニュアルレンズの方が使いやすいのです。ただし、ボディとの組み合わせによっては正確に無限大が出ない場合があるようです。

*7:露出倍数400倍