今夜の月

帰宅したら、西の空に細い月が見えていました。梅雨の晴れ間、数少ないテスト撮影のチャンスです。すぐに望遠レンズで撮影しました。200mmF4に2倍テレコンバータを使用、400mmF8相当で撮影しました。


19:32 露出1/8秒 雲のせいもあり、露出アンダー気味です。


上のコマの部分拡大。望遠レンズでもこの程度のクレーターは写ります。



19:37 露出2秒 地球照が写り始めます。



19:42 露出8秒 地球照は良く写りますが、日周運動で月が動いてしまいます。


上で「テスト撮影」と書きましたが、実は皆既日食のためのテスト撮影です。月と太陽の見かけの大きさはほぼ同じですから、このレンズを使って写る太陽の大きさは、この月の大きさとほぼ同じになります。つまり、日食の時の太陽がどのくらいの大きさに写るか、っていうテスト撮影なんです。で、まぁ、このレンズの組み合わせで良いかな、というのが結論です。
部分日食だけの撮影でしたら、もう少し大きく写った方が迫力が出ます。でも皆既日食の場合、写したいのは、月(=太陽)の円板像の内部ではなく外側の、太陽の周りに広がるコロナなのです。あまりアップにしてしまうとコロナが視野からはみ出てしまうわけです。
とはいえ、コロナというのは太陽からかなり遠くまで広がっていますので、どこまで写すかというのは非常に難しい選択ではあります。
コロナは、太陽半径の10倍くらいまでは広がっているのですが、太陽から遠くなればなるほど淡く暗くなり、写真には写りにくくなります。そこで、暗いコロナを移すために露出時間を伸ばすと、内部の明るい部分は露出オーバーになって真っ白につぶれてしまうわけで、コロナ全体の露出適正時間は「ない」というのが結論です。(裏を返せば、どんな露出時間でも、どこかしらには露出が合う、ということでもありますけど。)このため、銀塩写真の時代は「目で見たとおりのコロナの再現」は非常に困難なことでした。
ところが、デジタル時代になって事情が変わってきました。露出時間を変えた複数の画像を重ねることによって、目で見たコロナの姿により近い画像が表現できるようになってきたのです。
さて問題は、画像処理をするにふさわしいだけの元画像が撮れるか、って事です。撮影者の腕(下手!)もさることながら、一番の問題は当日の天候です。例えば、「薄雲の向こうにコロナが見える」という状態では、目で見て楽しむには充分ですが、処理の元画像としては使いものになりません。まぁそれでも、あまり欲を出さずに、『まずは目で見られれば大成功』程度の「力の抜き具合」で行くつもりでいます。そう、貴重な皆既日食を、この目に焼き付けることが一番大事です。


…でもまぁ、失敗しても、何かしら撮れたらこのブログにアップします。運悪く何も撮れなかったら、…その時は、文章でごまかすつもりですw