彗星観測者の夜

昨夜は「観測者の夜」でした。
車検が終わって車をとりに行き、帰宅したのが19時少し前。すぐに31cm反射望遠鏡を組み立て、まずクリステンセン彗星(C/2006W3)を観測したのが19:12でした。この彗星は現在、とかげ座の方向にあり、宵のうち早い時間に見ないと沈んでしまいます。本当は薄明終了直後、18:30頃に観測できると良いのですが、なかなかそんな時間には帰れません。珍しく早く帰れたので観測できたというわけです。
次は、串田彗星(144P)、おうし座の方向で、夜半までは観測しやすい空の高い場所にあります。さらに、ブロートン彗星(C/2006OF2)、ぎょしゃ座、これも高いところです。この3個が観測できたところで、20時〜21時まで中休み。夕食に、残っていたカレーを食べ、次の彗星がもう少し高く上ってくるまで休憩です。
今夜の4個め、シュワスマン・ワハマン彗星(29P)は、かに座の方向にあります。この彗星が観測できたのは21:29のことでした。こうして、3時間足らずのうちに4個もの彗星を観測できました。彗星ざくざく、って感じです(笑)。観測を終えると、次の観測の準備のため、すぐに望遠鏡を片づけました。
昨夜は、22:40頃に月が出てきます。月が出てくると、その明るさで、暗い彗星が観測しづらくなりますので、つまり観測するチャンスは夕方から月の出までの数時間だったのです。
さて、次の観測目標ですが、ルーリン彗星(C/2007N3)が明け方出てきます。こちらはやや明るいので月があっても観測できます。明け方まで眠ることにし、23時に就寝しました。上で「次の観測の準備」と書いたのは、実は眠ることだったのです。

昨夜の「ど寒ブログ」は、この、観測終了後から就寝までの時間に、ガーッと一気に更新したものです。

05時、目覚ましが鳴り、さっさと起床。空を確認すると、晴れています。ルーリン彗星は7等級程度なので、大きな望遠鏡がなくても、また下弦前の月明かりがあっても観測可能です。用意したのはやや大きめの11×80双眼鏡。双眼鏡とはいってもレンズの口径が8cmもありますので、もちろん三脚に固定して使います。ルーリン彗星のあるてんびん座の方向に向け、星をたどって行くと…ありました。一つだけにじんだような星が見えますが、これが目標のルーリン彗星です。05:21のことでした。薄明が始まる直前のことです。
こうして一夜に5個の彗星を観測することができました。テレビもDVDもろくに見ないで、観測中心に過ごした、ストイックな一夜でした。まぁ、たまには「観測者としての自分」になってみる(戻ってみる?)のも良いかもしれませんね…。


実は、今夜も同じように観測しようかと思ったのですが、宵のうち雲が出てしまいました。それでも遅くなるにつれ晴れてきて、21時頃から1時間半ほど観測できました。串田彗星、ブロートン彗星、シュワスマン・ワハマン彗星と3個の彗星を観測することができました。3個めを観測し終わると、空のあちこちに雲が出てきましたので、すぐに撤収しました。うまいこと晴れ間に観測できたようで、ラッキーでした。


こんなふうに書くと、すごく熱心に観測しているように見えますが、実はそうでもないんです。「観測したい気持ち」と「面倒くさいと思う鬱な気持ち」のどちらにバランスが傾くかによります。若い頃、元気な頃はそんな事なかったんですけどね。もう熱気にあふれて、やる気に満ちていたんですよね。この頃は正直、晴れていても観測さぼって酒飲んで寝ちゃうことの方が多いですから。だからこそ、珍しく一夜に5個も観測した自分を、ちょっとほめてあげようと書いてみたのです。本当に熱心な観測者だったらこのくらいは当たり前の事なんですけど、今の自分にとってはやっとの事なんですよね。情けないけど…。
でもまぁこれからも、無理せずに細々と、適度にさぼりながら、でも続けていきたいと思っています。そんなふうに星と関わりを持ち続けるのが自分の生き方だと思っていますので。