今夜の一杯「The Arran Malt 10years」

アイランズ(諸島)モルトシリーズの最終回は、アラン島の「ジ・アラン・モルト」。

アラン島にはかつてたくさんの蒸留所があったのですが、1837年に最後の蒸留所が閉鎖されて以来、スコッチは作られていませんでした。復活したのは1995年のことですので、最も新しい蒸留所の一つ、と言っても良いのではないでしょうか。
色は薄めのゴールド。アロマは甘く、何かの花のような感じがします。フレーバーは、軽くすっきりした感じの甘さがあり、底にピート香を感じます。ピートを焚かない麦芽を使っているはずなのですが、これは仕込み水がピート層を通ってくるためなのでしょう。同様の感じはトバモリーでもありました。飲み込んだあとはあまり残らない感じです。
このアランモルト、「non chill filterd」の表記があります。ノン・チル・フィルタード、つまり、冷却濾過をしていない、という意味です。シングルモルトは出荷前によく「冷却濾過」をします。これは、温度が下がると析出してくる成分を濾過し、ウィスキーが濁らないようにする処理なのです。しかし、これはウィスキーに本来入っている成分を除去してしまうわけで、シングルモルトの中ではあえてこれを行わないものが、けっこうあります。先日、とても冷え込んだ朝があったのですが、室温4℃でこのアランモルト、見事に濁っていました。普通なら「ちっ、濁っちゃったよ」とでも言うのでしょうけど、この場合は違います。「おおっ!濁ったよ!やっぱりノンチルフィルタードだ!」と喜んでしまいましたw


アラン島はたいへん美しい島。「スコットランドのミニチュア」と呼ばれていて、スコットランドをハイランド・ローランドに二分するハイランド境界断層がこの島にも通っています。最も高い山で874m。筑波山くらいの山があるんですね。新石器時代の立石遺跡もあり、歴史も古い島です。
蒸留所は島の北岸、ロホランザにあります。ロホランザには美しいロホランザ城がありますが、東岸のブロディック城の方が有名のようです。



アイランズモルト勢揃い。右から…



アイランズモルトの島々。

  • メインランド…水色
  • スカイ島…緑
  • マル島…青
  • ジュラ島…赤
  • アラン島…ピンク
  • (参考)アイラ島…ジュラ島の南西隣です。
  • (参考)キンタイア半島…アラン島の西隣です。


…というわけで、次回はキンタイア半島、キャンベルタウンのモルトの予定です。