今夜の一杯“Scapa”

今夜もシングルモルトです。昨日に続き、オークニー諸島のメインランド島の蒸留所です。今夜は「スキャパ」14年です。


灯台のマークが印象的です。


ハイランド・パークシェリー樽熟成で濃厚さがあるのに対し、スキャパはバーボン樽熟成でライトかつフレッシュ。同じ島にありながら、対照的な2本です。しかもこの二つの蒸留所、わずか2km程度しか離れていないそうです。
アロマは、軽い甘さ。バニラ?何かの花?例えようがありません。フレーバーは、香りほど甘くはなく、ほのかにスパイシー。含み香はクリームっぽいかな?余韻はやはり甘さがあります。ようやく少しずつわかってきた感じですが、これがバーボン樽熟成特有の甘さなんでしょうか。



オークニー諸島の位置。赤色はメインランド島。

オークニー諸島をいろいろ調べていたら、興味深い歴史を知ることができました。この海域、もともと新石器時代の遺跡があったり、バイキングが活躍したりした、歴史のあるところですが、以下のお話は第一次世界大戦から始まります。
メインランドの南側、小さな島に囲まれた海域を「スカパ・フロー」(Scapa Flow)といい、天然の良港として知られています。この海域をめぐるイギリスとドイツの争いの話です。
第一次世界大戦で敗戦をのんだドイツは、艦隊をここに抑留されますが、引き渡しを拒んで艦艇を全て自沈させました。74隻のうちかなりの数が自沈しました。
   興味のある方は以下をお読みください。

その20年後、第二次世界大戦の開戦直後、ドイツ軍のUボートスカパ・フローに侵入。戦艦ロイヤル・オークを撃沈させています。ドイツ国民は歓喜したに違いありません。
   興味のある方は以下をお読みください。

現在も、ドイツ艦8隻とロイヤル・オークはスカパ・フローに沈んでいて、ダイビングスポットとして知られています。


スキャパは、もちろんこのスカパ・フローからの命名です。ただし創業は上記の事件よりもだいぶ古く、1885年です。海を見下ろす場所にあるという蒸留所は、2回の大戦における戦いをきっと見届けていたのでしょうね。


こんなふうに、雑学を楽しみながら飲むお酒も、また楽しいものです。